【書籍化&コミカライズ決定】何の取り柄もない平凡な俺が美人双子姉妹を命懸けで助けた結果、実はヤンデレだった二人をガチ惚れさせてしまった件【リメイク版】
第59話 さっきのやり取りの中にそんな要素あったか?
第59話 さっきのやり取りの中にそんな要素あったか?
ひとまず家を出た俺達は二人で雑談をしながらスーパーへと向かい始める。ほとんどの学校は昨日で夏休み終わっているため帰っている学生達は皆んな憂鬱そうな表情を浮かべていた。まあ、俺も同じような表情に違いないが。
「そう言えば今日の課題テストはどうだったの?」
「思ってたよりもだいぶ手応えがあった」
去年の夏休みの課題は最終日ギリギリに大急ぎで適当に済ませていため内容など全く頭に残っていなかった。そのせいで課題テストはぼろぼろだったが、今年は里緒奈から分からない問題を丁寧に教えてもらっていた事もあってか去年とは比べものにならないくらい解けたのだ。
「それはやっぱり
「ああ、
「……ちょっと、私は?」
私達を強調する玲緒奈に対して俺が里緒奈を強調すると不満そうな表情でそう抗議してきた。でも玲緒奈は俺と同じく手を抜こうとして里緒奈に尻を叩かれていた側だからな。そう思いつつ俺はフォローを入れる。
「英作文の課題は玲緒奈のおかげで本当に助かったぞ」
「そんな取ってつけたように言われると私が無理矢理言わせたみたいで罪悪感があるんだけど」
「なんかごめん……」
多分フォローを入れなかったとしても絶対に何か言われていた気しかしないのでどちらを選んでも正解だったとは思えない。そんな事を考えていると玲緒奈は笑い始める。
「別に謝らなくてもいいじゃん、私と涼也君の仲なんだからさ」
「と、咄嗟に謝るのは癖だから」
そう言い訳した俺だが玲緒奈は相変わらずニコニコしていた。多分キョドった俺の姿が面白かったに違いない。
「でも涼也君が最初の頃よりもだいぶ心を開いてくれてる事が分かったから嬉しいよ」
「さっきのやり取りの中にそんな要素あったか?」
「ほらっ、課題の事で私をいじってきたじゃん。ああいう事って気を許してないと絶対しないと思うからさ」
言われてみれば確かにそうだ。そんなに仲の良くないクラスメイトを俺がさっきのようにいじる事なんて絶対に有り得ないだろう。あんなふうにいじれるのは家族以外なら玲緒奈と里緒奈しかいない。
「そっか、俺も玲緒奈と里緒奈に毒され過ぎたみたいだな」
「相変わらず涼也君は素直じゃないね」
「それが俺って人間だからな」
「知ってる」
そんなやり取りをしているうちに目的地であるスーパーへと到着した。最近は澪に買い物を任せてばかりだからどの辺に何が置かれているかイマイチ覚えていない。
「ごめん、ちょっとトイレに行ってくるから少し待ってて」
「ああ、急がなくても大丈夫」
「うん、ありがとう」
そう言って玲緒奈は入り口を入ってすぐ横のトイレへと向かう。その間にソシャゲのパーティー構成を考えようと思ってポケットからスマホを取り出そうとしていると誰かから声をかけられる。
「あれっ、八神じゃん」
「……松山さん、久しぶり」
話しかけてきた相手は幼馴染で俺の初恋相手でもある
「八神とは中学校を卒業してから一回も会ってなかったから本当に久々だよね」
「高校が違うと会う機会は中々ないって事だな」
俺は普通科で進学校の天木高校に進学したが松山さんは商業科の高校を選んでいた。高校の方向や登下校する時間も全然違うため今まで会っていなかったのだろう。ちなみに小さい頃はお互い名前で呼び合っていたが中学校に入学直後から苗字呼びに変わった。
そして気付いたら松山さんに彼氏が出来てしまい俺の初恋は何も起きず終わったのだ。苦い思い出があるためあまり松山さんとは一緒にいたくない俺だったが向こうはそんなのお構いなしに話しかけてくる。
「八神は最近どうなの?」
「まあ、ぼちぼちってところかな」
「そっか、私は彼氏と別れたばかりでちょっと萎えてるんだよね」
「彼氏って中学二年の時の?」
「ううん、浩介は前の前の前だから違う」
という事は松山さんは今まで三人と付き合ってきたらしい。いまだに彼女すら出来たことがない俺なんかとは違ってかなりモテるようだ。
そして言うまでもなくかなり複雑な気分になっている。初恋の相手に元カレが三人いるという話は結構ダメージが大きい。そんな事を考えているとトイレを終えた玲緒奈が戻ってくる。
「涼也君お待たせ、ところでその子は誰?」
「ああ、多分前にチラッと話した事があったと思うけど幼馴染で……」
元々警戒したような顔をしていた玲緒奈だったが幼馴染という単語を聞いた瞬間さらに表情が険しくなる。あっ、これ絶対面倒な事になるパターンじゃん。
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