間話3 やっと涼也君が私達のものになるんだね

「お姉ちゃん顔がめちゃくちゃにやけてる」


「そういう里緒奈だっていつもより嬉しそうに見えるよ」


 涼也君と澪ちゃんを見送った後、里緒奈と一緒にダイニングの片付けをする私だったがかなり上機嫌だった。

 涼也君を私達のものにする計画が順調に進行しているのだから当然だろう。私と里緒奈がゆっくりと時間をかけて涼也君の感覚を麻痺させたおかげで最近はどんな無茶振りにでも付き合ってくれるようになった。

 それによりパパとママ、澪ちゃんの前で私達の左手薬指にペアリングをはめてくれるまでになったのだ。多分以前の涼也君では絶対そこまではやってくれなかった。

 ちなみに外堀に関しても計画通りに埋められている。涼也君のパパとママ、澪ちゃん、おばあちゃんに関しては攻略済みだ。

 パパとママに関しても今日の誕生日パーティーで私と里緒奈の気持ちには気付いてくれたと思う。ママに関しては全面的に私達の味方のため問題無いし、パパは色々と言ってきそうな気もするが正直かなりちょろいので別に何とでもなる。


「でもやっぱり涼也君は私達に告白して来なかったね」


「自己肯定感が低い涼也みたいなタイプはそもそも告白なんてしてこない」


「普通の男子ならもうとっくに告白してきててもおかしくないのにね」


「涼也は普通じゃない」


 あそこまでやれば自分に対して好意があると判断して間違いなく告白してくるはずだが涼也君からは何もなかった。

 だがそれは事前に予想していた通りだったため別に問題はない。だって涼也君から告白してこないのであれば私達から告白すれば良いのだから。告白するのは男子からという考えはもはや時代遅れと言っても過言ではないだろう。

 外堀も埋め終わっているため後は時を待って実行をするだけだ。ちなみにいつどのタイミングでどうやって涼也君に対して告白するかはもう既に私達の中では全部決まっている。

 絶対に断れないような状況を作って涼也君に告白するつもりだ。それならば勘違いや聞き間違いなどを理由に断られる事はないだろう。近々告白するにはうってつけなシチュエーションが訪れるためその時が勝負だ。


「やっと涼也君が私達のものになるんだね」


「うん、涼也は何があっても絶対他の誰にも渡さない」


 後少し我慢をする必要はあるがそこさえ乗り越えれば涼也君を手に入れることが出来る。その時がやって来るのが今から本当に待ち遠しくて仕方がない。


「待っててね涼也君」


「もう一生逃さない」


 涼也君が私達のものになるまでもうしばらくの辛抱だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る