【書籍化&コミカライズ決定】何の取り柄もない平凡な俺が美人双子姉妹を命懸けで助けた結果、実はヤンデレだった二人をガチ惚れさせてしまった件【リメイク版】
第23話 涼也の行く場所に例え火の中だろうが水の中だろうが私とお姉ちゃんも行く
第23話 涼也の行く場所に例え火の中だろうが水の中だろうが私とお姉ちゃんも行く
「遊ぶ前にお昼にしない?」
「その方が長く遊べそうだしそうしようか」
「泳ぐ前だからあっさりしたものがいい」
「だな、プールの中で気分が悪くなっても嫌だし」
俺達はそんな会話をしながら館内にあるレストランへと向かう。ちなみに多くの学校が夏休み期間に突入している事もあって東京アクアランド館内は多くの人で溢れかえっていた。
レストランの入り口に置いてあった客待ち名簿に名前を書いても中々呼ばれなかったため間違いなくプールも人が多そうだ。しばらくして席に案内された俺達は三人揃ってざるそばを注文した。
「そう言えば涼也君はオープンキャンパスの課題レポートってどうするつもりなの?」
「遊ぶ前に嫌な事を思い出させないでくれよ」
「ごめんごめん」
今年の夏休みはオープンキャンパスに参加してその内容をまとめるというめちゃくちゃ面倒な課題がある。これは天木高校の生徒のオープンキャンパス参加率が悪かったせいで数年前に出来た課題らしい。
学校側としては生徒をオープンキャンパスに参加させたくてそんな課題を作ったのだろうがレポート作成は非常に手間がかかるため正直勘弁して欲しかった。参加率が悪かった過去の先輩方に文句を言ってやりたい気分だ。
「オープンキャンパスは岡山市立大学へ行こうかなと思ってる」
「岡山の大学って事は東京からだとかなり遠い」
「そもそも何で岡山市立大学なの?」
「ああ、そう言えば話してなかったと思うけどおばあちゃんの家が岡山にあるんだよ。だから俺にとっては東京の次に身近な場所でさ」
俺は岡山と聞いて不思議そうな表情を浮かべていた玲緒奈と里緒奈にそう説明した。まあ、おばあちゃんの家があるのは岡山市ではなくその西隣にある倉敷市だが。
ちなみに岡山市立大学は複数の学部が存在する総合大学であり中四国地方ではトップクラスに人気な公立大学らしい。
「へー、そういう理由なんだ」
「それなら納得」
「ああ、オープンキャンパスのついでにおばあちゃんの家にも久々に寄るつもりだ」
東京都から岡山県まではかなり距離があるため気軽には中々行けない。そのため最後に行ったのは去年のお盆でちょうど一年くらい前だ。
「だから悪いけどオープンキャンパス前後は二人と遊べないからな」
「ああ、私と里緒奈も一緒に行くからそこは大丈夫」
「涼也の行く場所に例え火の中だろうが水の中だろうが私とお姉ちゃんも行く」
「いやいや、泊まりで行く予定なんだけど……」
当たり前のように同行しようとする玲緒奈と里緒奈に対して俺はそう声をあげた。日帰りなら問題ないが泊まりは流石に不味い。
「むしろ泊まりだから楽しそうでいいじゃん」
「でも男女で泊まりなのはちょっと」
「一回も二回もそんなに変わらない」
うん、二人は一歩も引く気がないらしい。これ以上この話題を続けても話が平行線になる気しかしなかったので一旦打ち切りにした。
それから昼食を終えた俺達はいよいよ今日の本命であるプールに入るために券売機でチケットを買って受付を済ませてから更衣室へと向かう。
「じゃあ水着に着替え終わったらプールの入り口で待ってるぞ」
「うん、涼也君また後でね」
「私達も水着に着替えたらすぐに行くから」
更衣室の前で別れた後、俺は男子更衣室に入ってリュックサックから取り出した水着に着替え始める。更衣室の中もそれなりに混雑していたため空いているロッカーを探すのも一苦労だった。
「……みんな良い体してるな」
周りで着替えている高校生や大学生くらいの集団が筋肉質だった姿を見た俺はポツリとそうつぶやいた。今の俺は身長が百六十七センチに対して体重が五十五キロと痩せ型の体型をしているため結構細い。
「俺もしっかりトレーニングしてもっと筋肉付けようかな」
ただでさえ身長が日本人の平均を下回っていてあまり高くないのだから筋肉を付けて体格くらい良くしておかないと舐められそうな気がする。残念ながら身長はもうほとんど期待できないが筋肉ならつけられるはずだ。
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