間話2 これで涼也はもう私とお姉ちゃんだけのもの

「涼也君、テストお疲れ様」


「よく頑張った」


 夏休み前の最終日、終業式が終わった後私とお姉ちゃんは以前約束していた通り涼也と学校近くのファミレスで打ち上げをしていた。涼也も無事に全教科赤点を回避してくれたため頑張って教えたかいがあったというものだ。


「二人とも本当にありがとう、俺一人だと絶対今回のテストはやばかったからマジで助かった」


「涼也君の役に立てたなら良かったよ」


「涼也が嬉しいと私も嬉しい」


 私達はそんな話をして盛り上がりながら料理を食べている。期末テスト直前に色々とハプニングも起こったがとりあえず一件落着だ。

 まあ、それらは私達姉妹が画策して引き起こしたものだが。クラスでパッとしないキャラの涼也が私達姉妹と頻繁に絡むようになれば悪目立ちしてしまう事くらい私もお姉ちゃんも初めから分かっていた。

 だが私達はそれを分かっていながらあえて一緒に登下校したりわざと目立つように教室で話しかけたりしていたのだ。その結果涼也に対してどんどんヘイトが向くようになった。

 ちなみにあの日白銀さんがいつもと違う場所に財布をしまっていたのはお姉ちゃんがそう仕向けたためだったりする。上手くマインドコントロールして無意識のうちにリュックサックの中ではなくハンドポーチに財布をしまうように仕向けたらしい。

 下準備として窃盗の話も体育が始まる前に聞かせていたようで、その後は事前に想定していた通り白銀さんは騒ぎ始め涼也が犯人と疑われて吊し上げられた。

 では私とお姉ちゃんがなぜ涼也に対してなぜそんな残酷な事をしたのか。その答えは涼也を危機的な状況に追い詰めた上で救済し、ついでに邪魔者を排除したかったからだ。

 元々涼也君が私達姉妹に対して好意を持っている事は知っていたが、今回の一件でその感情は更に強くなったに違いない。そしてお姉ちゃんがクラスメイト達に圧力を掛けた事もあって涼也と関わろうとする人間はいなくなった。


「これで涼也はもう私とお姉ちゃんだけのもの」 


「……ん、今何か言ったか?」


「何でもない、ただの独り言」


 どうやら心の声が漏れ出てしまっていたらしい。私が適当に誤魔化しているとお姉ちゃんが涼也に対して別の話題を振る。


「それより明日から始まる夏休みはどうする? 毎日遊ぶ予定だから基本的に何でもできると思うけど」


「そっか、毎日って言ってたな。もしかして気が変わったりは……?」


「するわけないじゃん」


「うん、涼也には毎日付き合って貰う」


 これから始まる長い夏休みが本当に楽しみだ。私とお姉ちゃん、涼也の三人で色々な思い出を作ろう。


———————————————————


これにて第1章は終わりです、現状の評価で大丈夫なのでぜひフォローと★評価をお願いします!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る