第16話 私達はちゃんと三人で付き合ってる
その後注文が決まったため店員を呼ぶ俺達だったが先程の確認の意図がここで判明する。
「ホットコーヒーを三つとカップルパフェを一つお願いします」
「おい!?」
里緒奈が店員のお姉さんに注文を伝えた瞬間俺は思わずそう声をあげた。まさか限定メニューのカップルパフェを頼むとは思っていなかったため完全に予想外だ。店員のお姉さんも驚いたような表情を浮かべている。
「すみません、そのメニューはカップル限定となっておりまして……」
「私達はカップルなので条件は満たしてると思いますけど」
「……あっ、なるほど。どちらか片方の女性と付き合われているという事ですね、大変失礼致しました」
玲緒奈の言葉を聞いた店員のお姉さんは納得したような表情になった。だが次の瞬間里緒奈が爆弾発言を投下する。
「違う、私とお姉ちゃん二人で涼也と付き合ってる」
「「えっ!?」」
俺と店員のお姉さんは同時にそう声をあげた。確かに店に入る時に三人でカップルのふりをしようと言っていたがまさか本当にそんな事をするなんていくら何でも予想外過ぎるだろ。しばらく固まっていた店員のお姉さんだったがようやく再起動する。
「流石に三人でカップルというのはちょっと……」
「でもメニューには男女のカップル限定とは書いてますけど三人は駄目とは書いてないですよね?」
「そもそも本当に付き合っているんですか?」
店員のお姉さんはそう言葉を口にしたがその疑問は至極当然だ。俺だったら絶対にそんな戯言なんて信じない。すると玲緒奈と里緒奈は席から立ち上がり向かいに座っていた俺の両脇に座って腕を絡ませてくる。
「私達はちゃんと三人で付き合ってる」
「昨晩も3Pしたばっかりですけど前戯からピロートークまでの流れを話しましょうか?」
そこまで言われて店員のお姉さんも流石に追求を諦めたらしい。伝票に注文を記入して奥の方へ戻って行ってしまう。
「カップル限定パフェ楽しみ」
「うん、どんな味なんだろうね」
「……無茶苦茶過ぎてもうツッコミが追いつかない」
玲緒奈と里緒奈が楽しそうに話している姿を見て俺はそうつぶやく事しか出来なかった。それから少ししてホットコーヒーとともにカップルパフェが運ばれてくる。
言うまでもなく三人でカップルパフェを頼む輩はまずいないため目立ちまくっていた。まだ東京インクルージョンスクエアに到着してから三十分も経過していないのにもう帰りたい気分だ。そんな事を考えていると里緒奈がパフェをスプーンですくって俺の口元に運んでくる。
「涼也、あーん」
「いや、俺一人で食べられるから」
「えー、せっかくだかあーんしようよ」
「だから大丈夫だって」
パフェを食べさせようとしてくる玲緒奈と里緒奈だったが恥ずかし過ぎてそんな事をするのは無理だ。すると二人はとんでもない事を言い始める。
「あっ、もしかして涼也君は口移しの方が良かったりする?」
「涼也がそうして欲しいなら特別にやってあげる」
「おい、待て。どうしてそうなるんだよ!?」
俺は口にパフェを含んで俺に近付いてくる里緒奈にストップをかけながらそう声をあげた。あーんですら恥ずかしいというのに口移しなんて論外だ。てか、里緒奈は本気で実行しようとするなよ。
「じゃあ口移しとあーんならどっちがいい? 涼也君に選ばせてあげるよ」
「どっちも嫌なんだけど……」
「昨日私とお姉ちゃんに童貞じゃないって嘘をつこうとした涼也に拒否権はない」
「……あーんの方で」
昨晩の事を持ち出されて断れなくなった俺は仕方なくあーんを選んだ。周りからじろじろ見られまくっている中で玲緒奈と里緒奈からあーんをされた俺は恥ずかし過ぎて死にそうだった。
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