第28話  銀の森へ……

 僕たちは、一路銀の森へ向かった。

 もちろん愛し合いながら……

 もう恥ずかしくはないぞ!! ここは空中だし、誰に迷惑をかけてる訳でも無い!!


 僕はマーク・エロイーズの無しでは、いられない身体になってしまったのだ。

 タップリ愛し合って、東方に向かった。

 前方には、銀色に光るリドムの森が見えてきた。


「なぁ、アル。本当に精霊が少なくなってしまったんだな」


「そりゃ……千年前と比べたら、魔法使いだって少ないですからね」


「それでも、あの頃は魔法が身近にあって、生活に不便なんて感じなかったぞ」


 マークは、遠い記憶を手繰り寄せるように目を細めて僕に言った。


「今の方が、生活は便利なのは分かった。それは何故なんだ?」


「リドムの葉の恩恵だよ」


 僕は、前方の銀の森の北方を指差した。


「あれ!!」


「なんだ!?」


「リドムの落ち葉を入れておくサイロだよ」


 およそ三百年前に、リドムの落ち葉が、枯れて腐るときに莫大なエネルギーを出すことが見つかったんだ。

 神殿は、各国にこのエネルギーを売ることで利益を出してる。


 神殿の人気が落ちても、聖地としての権威をかろうじて保っているのはこのためだ。


「なんなら、リドムの葉っぱを全部落として、森を丸裸にしてやるか?」


 マーク・エロイーズは、楽しいことを思い出したように不気味に笑う。

 おい、おい。

 冗談だろ?


「とにかく、光の神殿に突撃だ!!」


 マーク・エロイーズは、風の精霊の大将に命じて銀の森に隣接しているビルラード王国を通って、大神殿の方から奥の院に向かった。


 御神体たる神剣(現代はレプリカ)が祀ってある本殿の光の神殿。


「前にも来たことがあるな」


「ここから、逃げ出したでしょう?」


「昔々だよ。昔も逃げ出したな。女と一緒に」


「君は、昔から好き者だったの?」


「わりぃか?」


 マークは、真顔で言う。

 悪いとは思ってないようだ。

 僕というものがありながら……

 僕は、いじけてうつむいた。そうしたら、マークが、僕の大事なところを転がして言うんだ。


「俺には、もうこれがないんだぜ。俺には、もう、お前だけなんだ」


 うぅっ!! 可愛いので許す!! なんでもやってくれ~~!!

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