第21話  過剰すぎます、その愛は!!

 一度、銀の森へ帰って、エラドーラの大統領の暗殺事件の予知のこととそこに聖女が現われる旨のことを報告に行かねばならない。

 それをマークに言うと、『銀の森』の端っこで待っているという。潤んだ瞳で、「早く帰って来て」なんて可愛い事を言うんだ。

 僕の顔をジッと見て、思い切り口づけてきた。舌を入れて来て口の中を舐めまわされて、僕の理性はふっ飛びそうになったけど、一パーセントの理性が僕を奮い立たせてくれた。


「マーク。続きはエラドーラの件が終わったら、ゆっくりやろう」


 マーク・エロイーズは、上目遣いに僕を見て来て、『プク』ッと頬を膨らませた。明らか不満なのだ。


「神殿での、僕の立場も考えて下さい。僕は、神殿の予見師です」


「でも、神殿には、お前にチョッカイをかける女がいるだろ?」


 リサルディのことを言ってるのかなと思った。エロイーズとの面識はあるはずだ。


「リサは、ただの同郷の幼馴染ですよ」


 彼女を安心させるために僕は、思い切りの笑顔でそう言った。

 そう、リサルディとはただの幼馴染。マーク・エロイーズとは、行くとこまで行った仲!! それなのにまだ焼きもちを焼くのか? 可愛いな……


 ……と、思っていたら、


「そのリサルディは、お前のことが好きじゃんか!! 帰りを待ってるぜ」


「え? なんで分かるんですか?」


「だって、見えるし……分かるし……」


 僕の言葉に、マークはしどろもどろ言葉を濁して言った。


 彼女の胸に、光の聖霊の痕跡は感じられなかった。

 だが、彼女は神の系譜の一族の出身なんだ。

 先祖返り《ティ・ファーレ》で古い力が蘇った可能性もある訳で……


 僕は、これも神殿に報告するべきだと考えた。


 風の大将が僕らを『銀の森』の入り口まで連れて来てくれた。

 銀色に輝くリドムの森が目の前だ。


「じゃあ、マーク。行ってくるから」


 僕が、風の大将の絨毯を降りようとすると、


「待った!!」


「何です?」


「抱いて行けよ!!ここなら良いだろ?」


「良くありませんよ!! 聖地のまん前ですよ!! 神のおわす光の神殿のこんな近くで何を言うんです!!」


「神は、もういないって言ったじゃん。それとも、俺をもう抱きたくないの~~? 大将!風のカーテンだ」


 その色気タップリのマーク・エロイーズの口ぶりに僕の一パーセントの理性も吹き飛んだ。


 大将の風の絨毯から降りかけた僕は、再び、マークのもとまで舞い戻り熱い抱擁とキスを重ね、思い切り彼女を押したして腰を振ったのだった。


 僕は、もう彼女なしでは生きられない…………

 

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