第20話  本物の聖女とは……

「俺は、本物の聖女に会ったことがあるぜ……あれだろ? 独特の変な光魔法を使う奴だろう? 予言したり、時空跳んだり、後は魔族を弱らせてたりしてたな」


「マーク、すごいですね。君は聖女様に会ったことだあるんだ」


「なんとなく覚えてる……一族から見放された女だった」


 マークは、一所懸命記憶をたどっていたけれど、ついに、聖女の名前も何処に住んでいたのかも思い出せなゕった。

 千年前の記憶が、そう簡単に蘇るものかと僕は思っている。


「昔の聖女は、神の一族のみに現れたという、特別な存在でしたが、今の聖女は違います」


「何が違うんだ?」


 マーク・エロイーズは、僕の身体に自分の身体を押し付けてきた。

 ここは空の上だぞ!! 自重しろって!! マーク!!


「今の聖女は、生まれながらに身体に光の精霊グレシャスを宿しているんです。

光の聖霊グレシャスは、一度は、神の一族の本家に入りましたが、もともと『グレシャス』を受け取って、精霊の形にしたのは、後に光の神殿のトップになった最高位の巫女タナトス・リーアで、神の一族とは無関係の人です」


「でも、神殿寄りじゃねぇか!!」


「受け取ったのは、彼女が13歳でまだ巫女リーアの修行をする前ですよ」


「お前、俺がその光の聖霊グレシャスとやらを持ってると思ってるのか?」


「分かりません。まだ、顔を見た訳では無いので……でも銀髪の聖女は実在するんです」


 僕は、真っすぐにマークの顔を見た。


「どうすりゃ、その『グレシャス』のことが分かるんだ?」


 マークは真面目に僕の顔を見て来た。少しは思い当たることがあるのだろうか?


「奇跡が起こせる力があるんなら世直しだ!! この世を変えてやろうぜ!!」


 浮かれた顔をしたマーク・エロイーズが、ムネヒラを抜いて麦畑から麦を刈り取って、どうやってか、ビールを飲んでるじゃないか~~

 何処からコップが?

 いや、待て。え! ええ!!? ええええっ!!??


 麦をビールにしてる~~????

 どうやったら、そうなるんだ????

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