第14話 砂サソリを退治しましょう
「魔族がいなくたって、砂サソリはまだいるだろ?」
こころなしか、エロイーズの声が低く聞こえる。
「確か、砂漠にいるんだよな? 大サソリが」
「いるね~」
レナは面白がってる。でも、僕は知っていた。レナが神殿の警備騎士に命じてエロイーズとの距離を縮めていたことを……。
あと少しで、エロイーズを追い詰められるところまで行ったのに、エロイーズは、とんでもないことをしてくれた。
僕の手を取って、飛びあがりそのまま神殿の外に出て行ってしまったのだ。
僕は、空を飛ぶのは初めてだった。
見えない絨毯の上にでもいるような感覚だったけど。
サントスの町を南下して、遠くに整備された砂の地帯が見える。
「あれ~~? なんか綺麗だな~ 砂の量が少なくないか?」
「先代のサントス賢者様、サイラス様の時代にナムラ砂漠の大規模潅漑工事を行い、砂漠のど真ん中に用水路を通して大きな街道も作ったんです。
砂漠の砂サソリ、『ギャオ』は、砂漠の南に追いやられてますよ」
「哀れな奴ら~~」
エロイーズは、動きやすいドレスを着てはいるものの、胡坐をかいて大将の風の絨毯で移動している。下から見れば下着が丸見えだ。
それもあって、僕はエロイーズに注意した。
「ねぇ、銀の森に帰ろうよ。もう君の知ってる時代ではないし、その……下から下着が丸見えだと思うよ……」
「せっかく、ムネヒラが俺の手に返って来たんだ。魔族も魔王もいないんなら、砂漠の嫌われもの『ギャオ』でも仕留めなきゃおさまらねぇ!!」
風の大将は、真っすぐに『ギャオ』の 生息地である。砂漠の奥地ジェダイン・オアシスの方へ飛んで行った。
「オアシスがあるな……」
「僕の故郷です。昔は、敵襲を恐れて一番奥地のオアシスに逃げ込んだのですけど、北から、砂漠の整備が始まりましからね……。ギャオは、次第に南下して来て、この辺りに生息するするようになったのですよ」
「ふ~~ん」
エロイーズは、ポリポリと鼻を掻くと抜き身のムネヒラを持って、風の絨毯から降りて行った。
ドレスの裾が花びらのように、広がっていた。
着地といい、風の魔法の腕は確かなようだ。
僕は、怖かったので、風の絨毯から下を見ていた。
そして驚いた。
エロイーズが、あの、固い殻を持つ砂サソリを、地上に誘い出してバッサ、バッサ、と切り刻んでいる。長刀の長さをものともせずに。
「どんなもんだ?」
「すごいな」
「なら、ご褒美くれよ」
えっ!?
「このまま、近くのオアシスに行くぜ」
「ジェダイン・オアシスは止めてくれますか!! 僕の故郷で知り合いもいるんです!!」
「照れるな、照れるな。そこで良いから。よ~し!! 今夜は眠らせないぜ!! 頑張って腰を振れよ!!」
どうしよう~~ エロイーズが、どんどん変態化してる~~!!
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