第13話 妖刀、ムネヒラ
「愛されてしまったよ」
レナ(父)の言う意味が 分からずに、僕は父の顔を見つめていた。
僕と父のレナ-ドが話している時、エロイーズは、無関心に天井を眺めていた。
サントスの神殿の天井には、
その中の一つに、エロイーズは反応したかと思うと、突然飛び上がって天井からぶら下げてある剣や槍、斧などのところに行ってしまった。
「エロイーズ!! どうしたの?」
「……」
エロイーズは、答えない。
だが、エロイーズの力でこの高さを飛ぶのは無理だ。
僕は、嫌な予感がした。
でも!! でも!! 今は酒を飲んでないぞ!?
エロイーズは、まっすぐに一本の長刀をの前で止まった。
「見つけたぞ、俺のムネヒラ」
エロイーズは、釣るしてあった紐を風の力で切ると、長刀を手にした。
「あれまぁ、あの妖刀が気に入っちゃたのかな?」
「なに? レナ! 妖刀って」
危ないもののような気がしてレナに聞く。
「そのまんまだよ。結構古い時代の刀さ。たくさんの魔族の血を吸って、人間の世界でも、悪い奴らに加担していたんだ。長く行方不明だった時代もあったる。不思議な剣だよ。だから念入りに邪気を取って、ここ百年くらいはあそこに吊るしてあるんだ。」
「まさか、勇者マークの愛刀?」
父は、おかしな顔をした。
「それは知らないけど、彼女の別の顔が勇者マークって言うの?」
うぅ……
僕は、言葉につまってしまった。
自ら墓穴を掘るとは……。光の神殿に報告の義務はあると思うが、サントスの神殿にまで言ってしまうなんて……しかも賢者に。
すると、エロイーズが、長刀を抜き始めた。
そりのある長刀だ。普通の女の子には抜ける物ではない。だが、エロイーズは、さっと引き抜いて刀身を露わにした。
「こらこら、そんなものを持って歩いてたら、銃刀法違反だよ。返しなさい、元の場所に」
「嫌だ!! 俺の刀だ。俺のムネヒラだ。おい!! アルゴッド、行こうぜ!! 魔族退治でも!! 魔王退治ででも!!」
「もう魔族も、魔王もいませんて」
「なら、なんで俺が生まれるんだよ。俺は魔族を滅ぼすために生きてるのに!!」
エロイーズの面影が無くなっていく……。お酒も飲んでないのに、この長刀の所為で前世のマークになってしまった。
……レナ(父)の前で……
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