第10話  僕の貞操

「第一、あなたはもう女性ですよ? 分かってるんですか?」


 僕とエロイーズは、サントス郊外の目立たない宿まで来ていた。エロイーズの酔いを醒ますためだ。ところが、エロイーズは、食前酒で、酔い潰れるのに、マークはお酒にメッチャ強い!!

 しかも、よく食べるし、給仕に来たお姉さんを口説いてるし……


「風呂に言ってくる」


「アルコールを全部抜いて来てくださいね」


「なんでだよ~」


 エロイーズの不満げな声がした。


「俺は、あんな窮屈なところには帰らねぇぜ」


「あなたが『グレシャス』を宿していなければ。即刻帰れますよ」


「じゃあ、俺にはそんなものは無いと、お前からそう言っといてくれ。俺は自由が良いんだ」


 でも……それではとても困る。マークはそれでいいかも知れないが。

 エロイーズは、ほとんど屋敷の外に出してもらえなかった世間知らずのお嬢さんだ。

 風呂から帰って来たエロイーズは、まだマークだった。


「酒瓶を片手に一生を過ごす気ですか?」


「それも良いかも……。それより、お前俺のことが好きだろ? 俺が女なら、お前が男じゃん!! これで問題はないだろ?」


 エロイーズは何を言っているのだろう……?


 電気の付いた明るい部屋で、あの華奢な腕から何処にこんな力があったのかと思われる力で、僕はエロイーズに窓際のベッドに押し倒されてしまった。


「大将、部屋を暗くするんだ」


 ま……待って……待って!! 待ってくれ~~!!!!


「僕はまだ16歳なんだ!! 君も同じくらいだよね?」


「歳なんてかんけぇねぇし!! やりたい時にやる!! だ」


 風の大将の所為で真っ暗になった室内。


 エロイーズは、僕のズボンを下着ごと下げてきた。

 そして言ったんだ。ボソッと。「俺より、ちっせい……」


「うぅっ……」傷ついたぞ……。


 そうしたら、エロイーズの奴僕のにむしゃぶりついてきた。


「何で……男の君が知ってる訳……」


「やってもらった事と逆のパターンだろ? おら、勃った!! 入れるぜ!! 思いきり腰を振れよ」


 僕の……僕の初体験は……こうやって、初恋の人に奪われたのだ……。

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