第9話  エロイーズを追う僕

 そんなこんなで、エロイーズを探す役目は僕に白羽の矢が立った。

 もともと、神殿の権威は失墜してるし、今じゃ、神官ルースト巫女リーアの成りても少ない。神殿も人手不足なのだ。


 僕は、カードで風の大将が西へ行ったことを掴んだ。

 後はと、眠れたら予知夢が見れれば良いんだけど……。


 僕は、西域の中心部、サントスにある神殿まで魔法陣を使って移動した。

 昔から、長距離の移動に用いられている。けど、一般の人にはお金が高くて手が出ない。そういうものだった。


 今は、大陸を東西に横断する新しい技術の汽車が発明されて、人々はそれを利用して、遠出をしたり、物流の仕事が進化してきたる訳だが、その新しい技術が神殿の開発した。リドムの葉を培養土を使った電気であることは、あまり知られていない。


 まっ!! いいけどね!! 神殿は、もう何千年と世界の中心地の顔をして、我が物顔で世界中の人から、搾取してきたんだもの。恩返しをするのは当たり前なんだ。


 僕はサントスの神殿から出て、真新しい城塞都市の、アルテア市国に入っていった。

 ここは、もともと古王国の一つのアルテア王国だったが、二百年前に市民運動で王家が、民に国を譲ったのだ。それからは、『市長』と呼ばれる者が選挙で選ばれて、『議員』と共に国を治めている。


 アルテアは、もともと冒険者ギルドのあった国だ。

 エロイーズの行っていた『マーク』とやらの記憶が正しいなら、きっとここに現れるだろうと僕は思ったんだ。


 そして、そのは当たった。

 最悪なところで……

 エロイーズの奴、城壁の中の繁華街の町で、なんとを捜していたんだ。

 娼館……それは、男の僕だって知っている……。

 男性に女性がご奉仕する所だろう……?


 でも、今は男子18歳にして娼館デビューなんて悪しき習慣も無くなってるし、神殿も推奨してない。てか、今は女性の地位が高くなってるんだ。


 あ……。エロイーズの奴、手に酒を持ってるぞ~~


 銀髪美少女が、酒瓶片手に「娼館は何処だ~~」なんて喚いたら、通報されるぞ!!

 筋肉質の男が二人、エロイーズに近付いて攫う前に彼女はヒョイと彼らを交わした


「その前に嬢ちゃん!! 女だろ!! それにいくつだ~? もともと娼館は大人の男の行くところだぜ」


 厭らしいが真っ当な意見だ。しかしエロイーズは、「ガハハ」と下品に笑う。


「俺は、勇者マークだ!! 男に決まってるだろ!!」


 男たちは、エロイーズには触ることも出来なかった。

 風の大将だろうな。契約者を護ってくれている。

 酔っぱらってる彼女も可愛いが、とにかくこの場から逃げなくては……。


 僕は、エロイーズの手を取ると走り出した。


「あれ? アルゴッドだっけか?」


「はい!! 何が気に入らなくて抜け出したんです? 事情によっては力になりますよ」


「そんなんためよ。なんだよ~!! 娼館がないとか~~」


「それこそ、前時代の悪しき風習です。女性の身体のことを考えてませんから」


 エロイーズは、急に浮かび上がってきた。


「なら、今はどうやって女を見つけるんだ」


「基本的に、好き合った者同士が結ばれます。そういった宿屋があると聞いたことがあります」


 何でこんなことを説明しなくちゃならない??


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る