第2話 美少女、エロイーズ
僕は、光の神殿の裏の池のほとりで、いつもの昼寝をしていた。
夜にベッドで眠れないのだ。昼寝でもしないと身体が持たないのさ。
ここからは、光の神殿の表門に通じる道が丸見えだ。
その日、二頭立ての馬車が神殿の前に止まった。
また、聖女候補の女の子が呼ばれたのかな?
あの日の会議以降、カード占いのニールと水占のターキスが、『グレシャス』の波動を感じると言い出したのだ。
聖女の力は、受け取った少女の家系に生まれることが多いようだが、生れるのも百年に一度くらいだ。見極めも難しいらしい。先のアウグステ様は、最後まで自分は違うと言い切っておられたというし、(その割に、奇跡としか思えない力を使っている)しかも、元本家の血筋の方だった。
ここ何日かで、魔法がある少女が連れて来られ、予見師たちの占いによって、帰される……。そんな子を何人も見てきた。
今度は、どんな子が来たんだろう……
興味半分で、池づたいに表門へと近付いて行った。
真っ白な駿馬の馬車だ……それに出迎えてるのは、三賢人のギイラス様だ~!! 何者? 何処の令嬢だよ~
僕は、ギイラス様に手を取られて出て来る少女を待った。
何故か、ドキン!! ドキン!! と胸が高鳴りしている。
そして少女の顔を見た途端、僕は、顔が真っ赤になった。
今時、珍しいうねりもない、腰までの銀髪。奥ゆかしさのある深い青い瞳。小柄ながら均整の取れた体格。彫刻のような顔……。だがその顔に表情はなかった。
「エロイーズ・リッヒ。今日から君の暮らす光の神殿だ。神殿の権力は落ちても、聖女の出現さえあれば、また民衆の心は、我らに戻ってくる」
いい加減なことをいってるな~~
神殿の権力が落ちたのは、前の三賢人さんたちの汚職の所為でしょうが~
神のいなくなった、銀の森は以前よりも神聖な所とは思われなくなったんだ。
だからか知らないけど、三賢人さんが『神の声を聞く男』なんてインチキなことを始めた。
当然、合ってることは全然なくて、僕たち予見師まで、白い目で見られたんだからね。
それから、神殿は『聖女』の誕生を待ち望むようになったんだ。
「眩しい……ですわ……」
「直に慣れますよ。リドムの葉は人を傷付けたりしません」
僕は、そっと岩の隙間から、その様子を覗いていたんだけど……
後ろから「ドン!!」と押されたんだ
わぁ!! 眼鏡が落ちる……!! 身体のバランスも!!
オアシス生まれの僕には、ここの銀ギラの葉っぱが合わなくて、やっと作ってもらった眼鏡だぞ!!
何をしやがるんだ!!
振り向くと、そこには幼馴染みので巫女見習いのリサルディが舌を出して僕の方を見ていた。
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