第2話 「縄文人感覚」とは
縄文人としての顔つきだの骨格だのDNAだとかいった話ではなく、心から自分が縄文人である、という実感を持てるようになる、ということです。
私が自分のことを縄文人であると意識したのは、2017年青森県の三内丸山古墳を訪れた時、目の前に広がる広々とした景色に感動したのがきっかけでした。
それまで、修学旅行などで見なれてきた京都や奈良という歴史的街並というのは、まるで「歴史を実感しなさい」と無理強いされてきたのではないか、と気づいたのです。
広々とした野原にある集落遺跡に、心から・自分の存在としての歴史を感じました。
「ああ、俺は1万年の昔、ここに住んでいたのだ。」と。
その日、家に帰ってからネットで調べてみれば、島根県には25億年前の石が沢山ある。或いは、10万年前の矢じりが群馬県から出土している、なんていう話はいくらでもある。
日本の歴史が奈良・京都から始まったなんて、一斤の食パンの表面に生えたカビを見ているようなものではないか。
更によかったのは、縄文遺跡を数時間訪れたという、ごく短い期間の縄文人体験ではなく、1年間、縄文人体験ができたことです。
青森市近郊にある、かっぱ温泉という銭湯の近くの鎮守から眺める三内丸山古墳辺りの景色は、私の縄文人感覚の原点となりました。1年間、銭湯に入る前、毎日のように夕暮れ時に見ていたことで、その時の私の心と1万年前の景色が同期したのでしょう。
その意味で、貧乏暮らしでこれといった楽しいことなどありませんでしたが、私の人生にとって大きな意味を持つ貴重な一年でした。
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