夏祭り、独

夏祭り。打ち上げ花火。河川敷。

浴衣。かき氷。ラムネ。


人混み。


みんなが花火を見に行く時、日記を書く。

浴衣を着てかわいくヘアアレンジなどせずにひたすら書く。他でもない自分を守るために。


人混みは嫌いだからと、家でお酒を飲むことにした穂花さんも同じ気持ちだったのかな。

もしそうなら、嬉しい。

殺人者で、愛に飢えていて、でも義妹のことを愛していて、1人で育てようとした穂花さんは世間から見たら犯罪者だろうが、私からしたら心配だ。

もうぼろぼろで、壊れてもおかしくないのに、必死に護って耐え抜いて。


疲れ果てて死のうだなんて。


自分が生きていた意味は?他人からの価値ではなく、生きていて自分はどんなことが楽しかった?嬉しかった?

そう問いかけたい。作者でも、穂花さん本人でも。

教えて欲しい。自分が生きてていいと思える考え方。



そんなことを思いながら、今日は一人で過ごす。

友達も花火に行ってるからLINEなんて繋がりやしない。

―本当に独りだ―

寂しさだけが募ってくと思ったがそんなことはなく、安心感。誰にも干渉されない、どこまで落ちても誰にも迷惑をかけない、何をしてもいい。

その適度な自由が、私に安心感を与える。


小説の通りに、花火の日に告白が出来たらと思った。

愛だけじゃない。必死に消そうと努力した過去の話とか、それこそ性について。とか

でも、本当は「好き」って、「恋愛として好きだ」って言えたらいいのに。言ったところで困らせちゃうかな。

自分にくれる愛を確定させたくて、『恋人』という肩書きに惹かれてしまう。「友達」と「恋人」の違いははっきり言ってないと思っているが、なぜそんなにも恋人が欲しいのだろう。

人の愛に飢えてるから?自分の価値を知りたいから?

それとも


――『あなただけが私の全て』と言ってくれる人を探している?


あなただけが全て、大好きだよ、愛してあげる。

そう、言われたいのかもしれない。私の愛はねじ曲がっている。

束縛されてもいいから、骨が折れてもいいから、

抱きしめて欲しい。

安心が欲しい。

大丈夫、大丈夫。って頭を抱えられたい。


その中で、私は思いっきり泣きたい。

今までの苦痛、嫌悪、拒絶、理不尽、全てを吐き出したい。

心が詰まって詰まって詰まって吐き出しきれなくなる前に。吐く体力もなくなってしまう前に。

全てを吐き出したい。安心できる場所で、もうどうなってもいい場所で。

誰かその手伝いをしてくれる人はいないだろうか。


見つかるわけないか

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る