秘密
全校応援だった。行く未来もあったかもしれない高校との対戦。私は今の高校でつくづく満足だ。
女の子として可愛くスカートを履いて生活したとすれば、きっともっと楽に生きられるのだろう。楽に生きたい、目立たずに生きていきたい。そんな思いとは裏腹に体はスカートを履くこと、ベストを着ること、可愛くなることに拒否反応を示す。
自分が無くなったような、そんな感覚。もう二度と経験したくないような地獄のような人々の視線。「かわいい」と世間で言う褒め言葉が自分には最高の悪口に聞こえたのだ。
性別を間違えた神様は悪いとは言わない。でも、せめて、普通に生きられるような身体にして欲しかった。みんなが好きなことに無理やり合わせて、自分の好きな物は理解されないと思う生活から抜け出したい。
自分には自分のことが分からない。それはいつまで経っても分かることは無い。
何をしたいか何を着たいか。その時々によって限界値が変わる。ベストを着る気になる時もあるし、何がなんでも着たくない時もある。その無意識的な好みのばらつきに頭は対応できない。
限界値が極端に低く、許容範囲が急激に狭くなった時、生きていることが億劫になる。
死にたかった。
いつまで経っても思う時もあるし、思わない時もあるだろう。
そんな時は、全てがしんどい。人の話し声笑い声、雑音、身の回りの環境全て。
休むことしか回復方法は無いのに、休むほど暇がない時が多い。そうなって落ちていく。
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