沈黙は擦れ違いの始まり Vol4
ポキッポキッ!
【ゴメン。返事遅くなったよ。美味そうな料理だね。俺のも残して置いてくれよ】
やっと璃央さんからお返事が来たわね。
でも今更なのよ。残念ながら~。ふんっ!
お料理はもう残って無いから空っぽのお皿とワインのボトルを二本並べて写して送ってあげようかしら。
カシャッ!
『何よ。今更。もう遅いわよ。お料理はとっくに無くなってるし、あたしはワインを二本目を開けてるし知らないわよ!』
今夜のあたしはオルタナサウンドで上げていて臨戦態勢なんだからっ。
いつでも掛かってらっしゃい! フフフ。
スネタ フリ スルノ ワ イイケド ヒキドキ ヲ マチガエル ト メンドー ナ オンナ 二 ナル ダケヨ。 キヲツケナサイナ。
拗ねた振りってなによぉ。振りじゃ無いわよ。拗ねてるのよ!
ジカク ガ アル ナラ ナオサラ ヨ。 モー ヤメトキナサイ。
それは璃央さん次第ね。
謝って来るなら許してあげない事も無いわよ?
少し拗ねるだけで勘弁してあげるわ。
ソレ ガ メンドー ナノヨ。 コーカイ スル カラ ヤメナサイナ。
あたしにこんな忠告をクーデレさんがしてくれてる時に着信音が鳴ったの。
誰からよ。あたしは作戦を練るのに忙しいのだから。
でも緊急だと不味いから確認してから出るか決めましょ。
画像も添付されてるなぁ……
あ~ぁ。本当に二本目のボトル開けてるよ。
弥生ちゃんは彩華さんと違って酒に強いワケじゃ無かったよな?
ボトル一本飲んでると結構酔ってるって思った方が無難な気がする。
しかもワインだと進行形で酔いが廻って来るから悪循環になりそうだし――
これはメッセしてるよりコールして声を聴きながら糸口を探って行かないと拗れてどうしようもなくなるかも知れない。
どうする? コールしてみるか。
拗ねて出ないならまたその時に考えれば良いかな。
――って。璃央さんからじゃないっ。
さぁ~て、どうしてあげようかしらねぇ~。
直ぐに出るのも待ってたみたいで癪だから七回目のコールで出てあげましょ。
あと三回……二回……ラスト……ピッ!
「どうしたの? こんな時間に」
「おっ。盛大に拗ねてるねぇ。だからゴメンって云おうと思ってね」
「拗ねてなんか無いわよ。失礼しちゃうわ。それよりも何か他に云う事ないの?」
「遅い時間にごめんな。メッセの返信おそ……」
「ダメッ。やり直しよ」
「じゃぁそうだな。元気にしてるか?」
「――んっ!? ――――反則よ……それ――メッセではお話ししてるけどこうして声を聴くのはあの時のホーム以来じゃない。それなのに――だから反則なのよ。やり直しを要求するわ」
「なんだよ。その反則って。それじゃぁ――今晩は。これからかな?」
「当たり障り無さ過ぎよっ。もう一回チャンスをあげるわ」
「う~ん……酔ってるのか? 飲み過ぎるなよ」
「酔ってるわよ。あたしだって飲みたい気分の時も在るわ。悪い事じゃないでしょ」
「そりゃそうだが……話したい気分じゃないなら切るけどどうする?」
「あっ……――!」
モー ソレ クライ ニ シナサイ! ホントーニ コーカイ スル ワヨ!
不味いっ。まずいっ。マズイっ!
どうしよう。どーしよっ。。ドーシヨ……
ねぇ。ねぇ。クーデレさんっ。どうしたら良いのっ。教えてっ!
オチツキナサイッ! ゴメンナサイ シナサイナ。 マズ ワ ソレカラヨ。
うん。解かったわ。
取り敢えず璃央さんに謝ってから考える事にする。
「どうする?」
「――ごめんなさい……あたし酔ってるみたいだわ。嫌なこと云ってるわね」
「気にしないで良いよ。俺も直ぐにメッセを返信しなかったのも悪いし」
「そうよ。それよっ。璃央さんがあたしを放って置くからこんなに飲んじゃってるんじゃない。璃央さんが全部悪いのよ。どうしてくれるの?」
「悪かったよ。ごめんな。さっきまで弥生ちゃんのカスタム作業に没頭してたからメッセに気が付かなかったんだ。もっと周りに気を配って置けば良かったって反省してるから機嫌を直せよ」
「あたしのバイクを作業してくれてたの? それじゃ――あたしが全部悪いじゃない。本当にごめんなさい」
「だからそれは気にしないで良いんだって。俺だって悪かったから。ここはお互いに悪かったって事にしないか?」
「璃央さんがそれで良いなら……あたしを赦してくれる?」
「許すも許さないも無いから。でもそれで弥生ちゃんの気が済むなら赦すよ。これで良いか?」
「ありがとう……璃央さん」
《フゥ――ナントカ チャクチテン ワ ミツカッタ ワネ》
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