沈黙は擦れ違いの始まり Vol2
あたしはお仕事用のバックにいつも忍ばせてるエコバックにお買い物した食材を詰めてお部屋に帰って来たの。
お風呂に入りサッパリして部屋着に着替えたら――ジャジャジャーン!
今晩の戦利品はバゲットにモッツァレラチーズでしょぉ、それと真っ赤に完熟してる美味しそうなトマトにキュウリよ。
ブルーチーズはいつものお気に入りが売り切れで他に美味しそうなのも無かったからパスしたわ。
作るお料理は晩ご飯とおつまみを兼ねてマルゲリータ風のカナッペに、トマトとツナ缶でディップを作って、キュウリとセロリと人参のスティックサラダにしようと思ってるの。
カナッペ用にトマトソースを作るから、余ったトマトソースでツナ缶を和えてディップにする作戦だわ。
美味しそうでしょう。ふふ。
先ずはトマトの湯剥きからね。
軽く皮に包丁を入れてトマトをお鍋の熱湯に潜らしてから冷水に取り上げ、指先で摘まんでゆっくり引っ張ると皮は剥けるわ。
その後は小さめのダイスに切って潰しながら火に掛け、お塩とコショウでお味を調えるの。
微塵に刻んだガーリックとオリーブオイルで風味付けも忘れない様にね。
薄~くスライスしたバゲットをオーブントースターで軽くトーストでしてから、ソースを塗りモッツァレラチーズ載せもう一度焼くと、カリカリな食感に香ばしい薫りで食欲も唆られて堪らないわよ。
でもこれはソフトな食感で食べたい時やお好みも在るから、気分で換えてみるのも悪く無いんじゃないかしら。
今晩のあたしの気分はカリカリの食感でオニオンスライスも一緒に載せて焼く、シンプルなマルゲリータ風だから具材は少なめなのよ。
チーズがトロ~ってしたら焼き上がりだけど、お皿に盛り付けてから乾燥ハーブのバジルとオレガノを振って薫りも豊かな逸品に仕上げるの。
美味しそうでしょ?
アナタ ナンテ カッコー シテルノヨ! ポーズモ カッコ ワルイシ。
お家なんだからあたしの自由にさせてよ。
ダッテ パンツ ミエテルワ ハシタナイッ。
それ本当? 恥ずかしいじゃないっ……
これからは自重するから視なかった事にして?
モォ オソイ ワヨ。
タマニ ユメデ ミセテアゲルカラ セイゼイ ハンセイ ナサイナ。
うん。凄く恥ずかしいからもうしません。
《アァ~ア。コノコ チョーシニ ノルカラ コワイワ。 ヒトマエデ ヤラカスト タイヘンダシ コーカイ スルマデ ミセテ アゲマショ》
いま何か在ったのかしら?
――違うわね……クーデレさんに叱られちゃうから無かった事にして、晩ご飯の支度も出来たしお愉しみの時間はこれからよ。
この季節だとワインも冷やした方が美味しい温度になるから冷蔵庫に入れて冷やすのも忘れて無いわ、
あっ。そうだっ!
今晩もお料理が完成したら並べて璃央さんを悔しがらせてあげましょ。
ふっふっふっ――
あたしはちょっと悪い顔をしながら嬉々としてお料理を続きをしたわ。
そしてスティックサラダを盛り付けながら、オーブントースターのタイマーが『チンッ』って云うのを待ってるの。
もうテーブルにワイングラスや食器も並べて、焼き上がったお料理を盛付けるだけにして在るから準備万端よ。
お皿にお料理を綺麗に盛付けたらテーブルにセッティングしてぇ……ワインを注いだグラスも入る様に――カシャッ!
なんて返信して来るかしらね。
悔しがる顔が眼に浮かぶようだわ。
『今日の晩ご飯よ。食べに来るかしら? 美味しいわよぉ~』
画像も添付して送信――っと。
璃央さんにメッセも送信したし、あたしはゆっくりお食事しましょうかしらね。
BGMはさっきからジャズを掛けて在るから良いとして、お食事中にお香を焚くのはナンセンスよね。
お料理の薫りに混ざってしまうとお味も違ったものになってしまうから。
それではワインを傾けてひと口――ゴクッ。
うん。いつものお味でこの安定感って何だろう。
安心するって云うか、とてもリラックス出来るから不思議よね。
カナッペは冷めても美味しいけど、折角チーズをトロトロに焼いたのだから冷めない内にこちらも――パクッ。
焼きたての熱いチーズが口の中で貼り付かないように、少し気を付けるけどやっぱり良いわねぇ。
ワインとの相性も良いし、お口全体に広がるハーブの薫りも好いわ。
スティックサラダは長めのブランデーグラスに差すように盛付けて、グラスごと平たいお皿に載せてディップを添えてるの。
シンプルだけど綺麗に盛付けて在ると思うわよ。
お皿に直接盛り付けるよりグラスに起て掛ける方が素敵だし美味しそうにも視えるのよね。
以前にどこかのお店でオーダーした時に素敵な盛付けだったから真似してるの。
もっと飾ろうと思えばサニーレタスも添えて一緒に差してみるのも良いわね。
ディップにはツナ缶を和えて在るから、丁度良い酸味にツナも加わってあっさりし過ぎなくて良い感じよ。
お味も食感も違った三種類のお野菜で飽きないから摘まんでいても愉しいわ。
これでお独り様じゃなければ云う事ないのだけど……
それはねぇ……
それにもう直ぐ璃央さんからお返事も来るだろうし、疑似的だけどお食事を一緒してる気分になれる筈だわ。
この間は即レスだったけど今晩はそうはいかないみたいね。
もしかしてお仕事が忙しいのかしら?
まぁ良いわ。待ってればその内にお返事も却って来るでしょ。
小っちゃな声で――『璃央~早くお返事して来るんだぞぉ~』なんてねっ。
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