謎の存在Xと〇〇 Vol4
最重要事項はやっぱりお仕事の件ね。
愛ちゃんとお話ししながらビジョンも視えて来たし、お料理屋さんの件とお勤めする両方を並列して考えて行けるわ。
そして住むお家の事も重要な問題よね。
ベストは師匠のお宅で下宿させて戴く事だけど、ご近所のアパートのお部屋を借りるのも選択肢の一つだわ。
そうそう、これに並行していまのお仕事の事も課長に相談しなきゃいけないわね。
この三つがクリア出来れば具体的なお引越しの段取りだけど、これはまだ後でも良いから優先度は低くて構わないわ。
「魔法の準備が出来たから段階的に貴女のリクエストに応えてあげる」
「やっと少しはマシになるのね」
「それでは世紀のマジックショーご覧あそばせ」
「まずはチョイっとこうして」
「おっ良いじゃないっ」
「お次はこれでチョチョイでしょ」
「もうクマ耳が取れただけで充分だから……これ以上魔法は掛けないでっ」
「これがクライマックスの最終奥義を……ハァァァアアアア!」
「やめてぇぇえええ」
「なんでまたクマ耳まで着けるのよぉ。ひとつ前ので留めてくれたら何の不満もないのに!」
「だって貴女が諦めたって云ったからリクエストに応えたのじゃない」
「クマ耳だけ外せるならそれでも良かったのよ! なんで段階的にしておいて途中で留まれないのっ」
「アタシが愉しいからに決まってるじゃない」
「もう色々と諦めるわよ……」
「でも諦めたらそこで終了よ」
「それをクーデレさんが云うなぁぁあ」
「アタシも早くやってみたかったから水を差して脱線しちゃったけど、お話しを戻すわよ」
「こんなに自由過ぎるのって本当にあたしの片割れなの? もう突っ込み所が満載で早くお話しを戻して現実逃避したい気分なのでお願いします」
「それが最善よ。では、あっちでのお仕事と居住の件に今の会社を退職するって、この三つが最重要よね。細かい事を挙げたらキリが無いけど逆に考えると細かい事は何とかなるって方向性で良いと思うわ」
「細かい事ってお引越しの件? 普通に業者さんに依頼するじゃ駄目なの?」
「引っ越しの作業とかはそれで良いのだけど、持って行く家具や荷物は下宿するのとアパートを借りるのではかなり勝手が違うわよ。例えば下宿する事になったとして和室にベッドを置いたら畳が傷むからお布団だけでいいでしょ?」
「そう云う事ね。それこそいま考えても無駄な事よね。今度行った時に師匠と相談しなければ決められる訳ないし」
「そうそう。良く解かってるじゃないの。やっとアタシの一部だって認めてあげても良い気がして来たわ」
「この際だから云って置くけど、本体はあたしなんだからクーデレさんがあたしの一部なのよ」
「これも見解の相違ね。ふふふ」
「あ~揶揄ったのねっ。なんで自分に揶揄われないといけないのよぉ」
「ウィットに富んだ冗談なんだからまぁ良いじゃない。そうだわっ。肝心な事を忘れる所だったわ」
「肝心な事ぉ? なにか在ったかしら?」
「〇〇の事よ。さっきのお話しの通りで良いのよね?」
「その事ね。それで良いわよ。まだまだ先の事だと思うから、その時が来たら考えるわ。きっと璃央さんも関係のある事になる予感はしてるけど。でもいまはフラットに考える事にする」
「了解したわ。それじゃ、生活基盤を優先してクリアするって事で今夜のお話しは纏まったわね」
向こうでのお仕事は何となくビジョンが視えて来たけど、いまのお仕事を辞めるのに先ずは直属の上司である課長に相談しないと駄目よね。
新しい大規模プロジェクトは早くて二カ月後くらいだから、そのチームから外して貰うのが前提になるわ。
いまメインで担当してる大きなお仕事はなくてサポート的な業務が多く、比較的に短期間のお仕事の担当でも遊んでる訳にはいかないから、引き継げるように同僚に申し送りする準備はしながらって感じになると思うの。
あたしが会社を辞めたいって云ったら課長はどんな顔をするかな?
普通に怒られる? それとも引き留められる? あっさり了承されちゃう?
う~ん。どれも一長一短ね。
こんな事を予想してみても仕方のない事だわ。
あたしのしたい事をするには会社を辞めるのが前提となってるのだし。
その為に嫌な事から眼を背けるなんて出来ないし、甘えられる訳もないのだから。
もう『当たって砕けろ』これで行くしかないわっ。
女は度胸って云うじゃない。
『モウ ナンド イワセルノ? オンナ ワ アイキョウ ヨッ!』
ってクーデレさんに云われそうだけど、先に云ってやったわよ。ふふん。
兎に角、このお休み明けにでも課長とお話ししてみようと思うわ。
それから考えても良いわよね。
先ずはあたしの意志表示をしない事には始まらないのだから。
その次はなにを優先すべきなのかしら?
お引越しの事かなぁ。
家具の件はどうしようかしらね。
いま借りてるお部屋の家具を全部持って行く可能性も在るけど、必要のない家具や荷物は実家のこのお部屋に置かせて貰うか処分するって事になるわね。
持って行かないパターンだとベッドは一つ処分しないと駄目ね。
誰か必要な人がいれば差し上げても良いのだけど、都合よくそんな人は居ないって考えて置いた方が無難だわ。
大きなものだと家電もそうかな?
冷蔵庫に洗濯機に……オーブンレンジなんかも要らないわね。
あぁ、でも冷蔵庫は大きく無いから父さんのお部屋に飲み物用に在っても良いかも知れない。
明日にでも聞いてみようかしらね。
残りの家電も母さんに聞いて必要ならこのお家に持って来て使って貰えば良いわ。
あとは……箪笥は必要だから持って行くでしょ。
ローテーブルもそうね。
ダイニングに置いてるテーブルとチェアはアパートのお部屋でなければ必要ないと思うのよ。
どちらにしても師匠のお宅に下宿させて戴くか、アパートのお部屋を借りるかでも全然違って来るからやっぱり後回しね。
そんな事を朧げに考えている内に眠りが深くなって行き、ついには思考を手離した。
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