第4話 作曲活動

「こんなに早く完成するとは、流石じゃ! これで、これでわしの夢をかなえることができる。そう思うと笑いが止まらんな」


 ひゃっひゃっひゃっひゃ・・と大きく笑い転げると、使用人が扉をたたいた。


「旦那様、どうされたのですか⁉ 大丈夫ですか?」


「ハッ! 何でもない、大丈夫じゃ! ありがとな」




 ボナンス氏は恥ずかしそうに顔を赤らめながら、

「さて、どうやって使うのかな。彼が説明書を置いて行ってくれたはずだが・・・あぁ! これだ」



 説明書に従い、機械を操作していくと、作曲ができそうな操作に行きついた。



「これを、こうして、こうすればよいのか」



 試しに付いているマイクに向かって鼻歌を録音してみる。



 その後、「印刷」の操作をした。



 機械から紙が印刷され、紙が排出された。



 そこにはいくつかの音符が記された楽譜が出てきたのである。



「素晴らしい! これは素晴らしい発明だ!」



 ボナンス氏の興奮は最高潮に達した。



 何がどうなのかはよくわからないが、自分の考えていたものが形になったことで、人生では味わったことがない高揚感を得た。



 彼自身は一切楽譜を読めないが、手の中にある紙一枚に最高の幸福感を感じた。



「これがわしの創った音楽、遂に形になった・・・!」



 ボナンス氏は久々に感動し思い切り泣いた。



「どんどん作ってしまおう!」



 ボナンス氏は自室に閉じこもり何時間も作曲活動に勤しんだ。






「ふう、こんなものかの。おっと、こんな時間になってしまったか」



 一晩中引きこもり、作曲活動に勤しんだ。



 その甲斐あって相当な量の音楽を形にすることができた。



 手にはずっしりと楽譜が抱えられている。



「さて、これらをどうしたものか」



 両手に乗った紙束を持ちながら、思案する。



 作ったはいいが、これがどれほど良い音楽家は彼自身にはわからない。もしかする

と出来の悪い曲の可能性もある。



 判断は彼にはできないのだ。



「やはり、その道に評価してもらうほかあるまい」

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