第3話

 僕は学校に行ってすぐ三年二組の教室に行った。ここ数日の出来事について相談するためだ。

 「すみません、牛久さんいらっしゃいますか」

 「うっちー? おーいうっちーお客さんだよ」

 「わたし? おや幽霊部員の坂本くんではないですかおはようございますちょっと失礼」

 牛久先輩は一息にいうと教室を出てきてくれた。

 「どうかしましたか?」

 「あの。七不思議のことで相談があって」

 「七不思議について!興味深いですねえ是非とも相談に乗りましょう今日の放課後でいいですかな」

 「あ、はい。ありがとうございます」


 牛久先輩はオカルト研究部の部長で色々な怪異について詳しい。父親が民俗学の教授ということも影響しているらしい。

 とりあえず当てができたことで一安心する。


 そして放課後、僕はオカルト研究部の部室に直行した。

 「……というわけなんです」

 「ふむふむ、怪異の変質ですね」

 「変質?」

 牛久先輩は僕の話を聞くとすぐに何やら聞き慣れないことを言った。

 「怪異は変質するのですよ坂本くん。菅原道真が怨霊から学問の神になったように。八尺様が恐怖の対象からえっちなお姉さんになったように!」

 息巻いていう牛久先輩に問いかける。

 「それで、どうしたら元に戻せるんですか?」

 「まずは変質した怪談を解決しないとだね」

 「解決……」

 「簡単なことだ!頭を見つければいい!坂本くん、その頭なし幽霊の頭はどこにあるんだい?」

 「わかりません」

 「そうかではさっそく……え!わからないのかい?」

 解決しそうだと思った矢先振り出しに戻ってしまった。どうして僕は六話目を作ってしまったんだろう。そんなの理由は簡単だ。神田先輩を独占したいからだ。でもなんであんな物騒な話にしてしまったんだろう。こんなことになるとわかっていれば……

 「くん……坂本くん!」

 「わあ!はい!牛久先輩!」

 「ぼーっとしている場合じゃないぞ。わからないなら探せばいいのだ。そこでだ」

 牛久先輩はニヤッと不気味な笑みを浮かべた。

 「神田先輩とやらを紹介したまえ!」


 「はーっ楽しみだ!この目で怪異を見られるなんて!坂本くんも水臭いじゃないかそういうことならまずこのオカルト研究部部長、牛久りさに相談してくれないと!」

 牛久先輩はウキウキとした様子で僕の後をついてくる。対して僕は足が重く、一歩一歩踏みしめるように歩いていた。

 神田先輩を紹介することになるなんて。一番避けたかった結果を自分で招いたわけだ。僕はバカだ。そんな自責の念に苛まれながら僕と神田先輩がよく集まる空き教室の前についた。

 「ここです、先輩」


 「おお坂本くん遅かったね。そちらは?」

 「三年二組牛久りさです!よろしくお願いします!」

 「よろしく牛久さん」

 あまりに普通の邂逅だった。

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