第二話 放課後の時間ー前編ー

「ごめん!! あの、その咄嗟に口から出ちゃったというかなんというか!! えっと……」


「素直に受け取っとくね。ありがと。」


……え? 怒ら、ない、の……?


急に褒めてきて、反応したら慌てふためくとか不審者かなんかだろ。


怒ったりしないなんて女神だ……


◇◇◇


『キーンコーンカーンコーン』


HRの終了を告げる音。


終わりと同時に騒がしくなる教室。


何があろうと何が起きようと、時間は過ぎ去っていくんだ。


夏休み明け初日は帰りの時間が早くなるからとても好き……

だった。

何故だか今日は寂しいようなホッとするような、

なんとも言えない感情だけが残っている気がする。


もしかしてこれが……?

いや、考えるのはやめておこう。


自分の気持ちから目を背け、何食わぬ顔で席を立ち上がり、バッグを背負う。

どことなく足取りが重い気がする。


なんとなく、隣の席に目をやる。


そこにはただ、空っぽの席があるだけだった。


ん……? え……?


あの人帰るの早くね!?

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