夏休み明けの今日という日に

天使 有咲

第一話 夏休み明け




「みんな久しぶり!! 会いたかったよぉ〜」


この「みんな」の中に俺は含まれていない。

「みんな」とはクラスの一軍で話してて楽しいイツメンのことを指している。


窓際の1番前の席。

授業中の指名は少なく、黒板は見やすく。

物語のモブAとして描写されるに相応しい席だと思う。


そんな席に、俺は座っている


「なぁ!! 宿題やってきた!? 写させて!?」


突然の大声に驚き、声のした方を見る。

……俺に向けられた声じゃなかった。


「どうぞ」


隣の席のメガネっ子。

本物メガネの俺には分かる。伊達メガネなのが。


おそらくモテ避けかなんかだろう。

なんせ、顔が美しすぎるんだ……

一纏めにされた後ろ髪は丁寧にケアされているのが分かりやすい。

肌の色は夏に相応しくないくらいに透き通った白をしている。

その美貌のせいか、同じメガネっ子なのに俺のようなモブ感は皆無である。


「綺麗やなぁ……」


ん……!? 声に出て、た……?


「今、なんて……?」


やべっ……

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