答え合わせ

 那月は、ご立腹だ。

 

 

 だからオレは、なんとかご立腹反抗期が少し和らがないかと那月の元へと足を運んだ。

 

 

 那月のおかあさんが外で草むしりをしていたので、おばちゃんに許可をもらい那月の部屋へとお邪魔した。

 

 

「なーつきっ」

 とドアの外で声をかけた。

 

 すると那月は、

「…ん?どこのだれやつ?他人は、出入り禁止区域ですよ」

 と、軽く侵入をお断りされた。

 

「他人ってなんだよ…幼馴染じゃん」

 とオレが返すと那月は、

「幼馴染…ってなんだろうね。幼馴染ポジションとか不必要じゃない?」

 なんて言い出した。

 

 

 幼馴染不必要って…

 

 

「いや、幼馴染は必要だよ。なんていうか…安定した仲間みたいなさ。あ、ほら那月…リベンジ!そうだよ、リベンジしなよ!」

 

 とドア越しにアリのリベンジをしようと声かけすると那月は、声のトーンめっちゃ低めで、

「は?はぁ?なんの?」

 と、とてもご立腹になってしまった。

 

 やばい…オレはもしかして足を踏み入れてはいけない心の領域に入ってしまったのか⁉︎

 

 

「えと…ね。うん。なんでもないかなぁ」

 

 

 手汗びっしょりのオレは、部屋をあとにしようとクルッと後ろを向いた。

 

 するといきなりドタバタ音がして那月の部屋のドアが開いた。

 

 

「リベンジって何よ⁉︎リョウは、どんだけ上から目線なわけ⁉︎そんな中途半端な気持ちで付き合いだしたの⁉︎」

 と怒りマックス…な那月。

 

 

 ん?

 付き合いだした⁇

 

 

 …

 

 どういうことだろう?オレは一度も那月とアリのたたかいに参戦した覚えはない。

 

 

「あのー…付き合い出したとは?」

「はい?わたしの口から言わせるの?そもそもリベンジの意味は?」

 と、とってもお怒りですよ?

 

「リベンジは、リベンジだろ…」

「へー、わたしにどうしろと?てか、わたしの気持ちにリョウは、気づいてたんだ?わたしからグイグイいってたら状況変わったかもよ?的なことが言いたいわけ?」

 と腕を組みながらご立腹な那月。

 

 グイグイ?

 そもそも那月の気持ちってなんだろう?

 意味がわからない…

 

 

「えと、アリ…だよね?那月が戦いにやぶれたのって…」

「そうだけど?それが何?」

「どうしたらアリに負けた…の?」

「は?リョウ…あんた…性格悪すぎ?なに?わたしに嫌がらせ?それともこれは…わたしをこバカにして腹で笑ってる?」

 と、めっちゃご立腹…だ。

 

 

「いや、バカにはしてなくて…その…あんまり那月がアリに執着してるから…どうしてそんなに執着するのかなぁー…みたいなね…」

 と恐る恐る聞いてみると、

「好きだからに決まってるじゃん」

 と俯いた。

 

 ⁉︎

 

 知らんかった…

 

 那月がそんなにアリ好きだったなんて…

 

 

「い…いつから?オレ全然知らなくて…」

「そっか…まぁでもさ、わたしも気づかれるようなそぶり見せなかったもんね。」

「うん…」

 

 

 てかさ、アリについてこんなに議題みたいにして話す人たちってあんまりいなくね⁉︎

 

 まぁ緊急事態みたいなもんだから仕方ない…。

 

 那月にしたら、推し活みたいなことだったりするのかもしれない。

 

「でもさ、リョウって何がしたいの?アリちゃんとうまくいってるくせに…」

 

 

 …

 

 え…?

 

 オレがアリとうまくいってる…⁇

 

 

「オレって…アリ飼ってないよね?」

 

 ハッ‼︎まさか…この前の腕についてるアリがまだオレの腕にっ⁉︎

 

 

 オレ…家に連れ帰り同棲してた⁉︎

 

 確かにあのアリ一瞬で居なくなってたんよ…

 

 またオレにへばりついたん⁇

 

 慌てて腕を確認したけど、アリは乗っていなかった。

 肩にも手にもいなかった。

 

 ホッ。

 一安心していると…

 

「ねぇ、なんで飼うのよ?付き合ってるんでしょ?」

 

 と言われました。

 …

 

 

 意味がわからない…

 

 

「ねぇ、那月こそふざけてない?」

「なにが?」

「だって、なんでオレがアリと付き合うんだよ?」

 

 …

 

「え、だって噂すごかったじゃん。それに理科室の近くの廊下でアリちゃんとキスしてたよね。」

 とおっしゃる那月。

 

 

 …

 

 ⁉︎

 

 え、もしかして…

 

 オレって…アリと…

 

 

 …

 

 んっ⁉︎

 

「アリって…アリスちゃん⁉︎」

 

「…いまさら?じゃあ今までどこのアリちゃんだと思ってたわけ?」

 

 …

 

 まさか…遊沙さんのこととは…

 

 そう、遊沙さんの下の名前はアリスさんなのだ。

 

 

 確かに付き合ってるって噂は、ありました。

 でもキスって…

 

 

 …

 

 

 あぁ、アングル的に那月からはそう見えたのかもしれない。

 

 

 オレたちは、ゆっくりと答え合わせをした。

 

 

 そして誤解も無事解けた。

 

 その時オレは、大切なことに気づいた。

 

 両片思いなんじゃね⁈と。

 

 

「那月…、今までオレのバカな勘違いのせいでつらい思いさせてごめんな。」

 

 オレは、那月の目をまっすぐみて謝った。

 

 すると那月も

「ううん。わたしの方こそ、困惑させてたみたいでごめんなさい。」

 と謝ってくれた。

 

 

 そして顔を見合わせてお互い笑いあった。

 

 

 

 …

 

 

 

 あぁ、

 那月の部屋…久しぶりだな。

 

 

「那月…オレの夢なんだか知ってる?」

「知らない…かも。あ、警察官だっけ?」

「うん。それもそうだけど、一番の昔からの夢は…那月の部屋で那月とキスすること。」

 

 …

 

「え…それって…」

 

「そういうこと。那月、大好きだよ。」

「うん。わたしも好き!大好き‼︎」

 

 チュ〜♡

 

 

 幼馴染の反抗期は、オレの勘違いでした♡

 

 勘違いも解けて夢も叶いました♡

 

 

 

 おしまい。

 

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幼馴染のやばい反抗期到来⁉︎ 猫の集会 @2066-

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