ご立腹

 幼馴染がアリと勝負して敗退したと聞いた数日後…オレは美少女、遊沙さんからのデレに困惑中です。

 

 

 理科室に向かう途中、突然後ろから遊沙さんが現れてご一緒いたしましょう♡と笑顔で言われた。

 

 …

 

 どっちみち同じ理科室に行くのでとりあえずご一緒させていただいた。

 

 

「しかし理科室って遠くね?」

 とオレが遊沙さんに話をふると遊沙さんは、

「ええ。遠ければ遠いほど嬉しく思います」

 と、にっこり。

 

 …

 

「へー、かわってんな」

「うふふ♡」

 

 

 そんなどうでもいいくだらない会話をしていたら、オレたちの正面から那月が歩いてきた。

 

 

 そして…

 

「あら、今日もいいお天気で。それじゃまたぁ」

 と近所のおばちゃん感漂う言葉を発して那月は、通り過ぎた。

 

 

 …

 

 なんだよ…あのキャラは…

 

 

 那月は、最近変だ。

 

 まぁ、昔から変だったけど…なんか最近は特にパワーアップしている気がするんだよね…。

 

 

 那月が通り過ぎるのをつい目で追ってしまっていた。

 

 

「那月さんとは、幼馴染なのですよね?」

 といきなりオレの顔を覗き込む遊沙さん。

 

 ⁉︎

 

 ちかっ…

 あまりの近さに一瞬立ち止まってしまった。

 

 …

 

 少し驚きつつも、

「え、あー…うん。」

 とこたえるとなんか急に遊沙さんがオレの後ろの方に一度視線をやり一瞬、クスッと笑った気がした。

 

 

 振り向くと那月がこっちを見ていたけど…なんかオレと目があった瞬間、すごい勢いで走り去っていった。

 

 

 あーあー…那月、小学生の頃から廊下は走らないって先生から何回も怒られてんのに、いまだに廊下全力疾走してるよ…まったく。

 

 と呆れた。

 

 

 そんな呆れた日の夜、那月からまたくだらないメールが届いた。

 

 

 ・衣替え十一月からだからねー・と。

 

 

 ?

 

 衣替えは、十一月じゃなくて十一日だ。

 

 

 まったく那月は、いちいち小さな間違いが多い。

 

 なのでオレは、

 ・十一日な。ありがとう・

 と返した。

 

 すると…

 

 ・あり、とかいう言葉二度とわたしに使うな‼︎・

 

 とめっちゃ怒られた。

 

 

 …

 

 ありがとうのありか…

 

 那月は、アリとどんな勝負したんだろうか⁇

 

 

 まったく意味がわからんけど…

 

 まぁ反抗期だし…仕方ないと諦めたオレ。

 

 なので、

 ・ごめん・

 と返信した。

 

 

 すると

 ・謝って済むことじゃない‼︎・

 と、かなりご立腹のご様子だった。

 

 …

 

 反抗期悪化…

 

 どうすりゃいいのさ…⁇

 

 

 あんまりご立腹のご様子だったので、オレは那月に電話してみた。

 

 すると…でない。

 

 

 ・なんで電話でないんだよ・

 と送るとすぐさま

 ・キサマみたいな奴と話す時間は、ない・

 ときた。

 

 …

 

 自分から、いらない衣替えの連絡してきたくせに…まったく那月は、自由なやつだぜ。

 

 

 

 そんな意味不明な連絡があった次の日、朝学校で那月をみると、昨日泣いた⁇みたいな目をしていた。

 

 なのでオレは那月を呼び止めた。

「那月?昨日泣いた?」

 と率直に聞いた。

 

 そしたら、那月は

「えと…これは…あのね…」

 と、しどろもどろだった。

 

「うん、どうした?」

「あの…」

 

 

 話の途中、那月の表情がいきなり変わった。

 そして、

「これは、寝不足だ‼︎誰が泣くもんか‼︎」

 といきなり強気な那月に戻った。

 

 

「あらぁ〜?お二人さん、朝から幼馴染同窓会かなぁ?」

 と後ろから遊沙さんが現れた。

 

 すると那月は、

「まぁ、そんなところ。それじゃ」

 とあっさり行ってしまった。

 

 

 …

 

 なんか那月と遊沙さんって…あんまり仲良くない?ってか、空気が一瞬にしてわるくなるような…気がするのは、オレだけなのだろうか…と感じつつあった。

 

 

 那月は…情緒不安定なのかな⁇

 

 今度ゆっくり休みの日にでも那月と話をしようかなと思う。

 

 アリとの勝負もどんなことしたのか気になるしな。

 

 なんならリベンジ手伝いでもしてやろうかね?と思うオレなのでした。

 

 

 それがあんなことになるなんて…

 

 …

 

 続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る