World of gacha-ワールド・オブ・ガチャ-

七星北斗(化物)

1.ガチャりたい

 ただ白い世界、中央の大きなクリスタルが、僕へ語りかける。


「貴方は、前世で善行を積み、その行いを讃えるため。我々は、貴方の願いを叶えることにした」


 前世とは、何の話だろうか?思い出せない。


「何か願いはないかい?どんな願いでも叶える」


「…チャ…ガチャが引きたい」


「なるほど、面白い願いだ。君がそれを望むなら、叶えるとしよう」


 ガチャって何だ?思い付いたことを言葉にしたが、とてもしっくりきた。


 そして僕の前には、ガチャと呼ばれるトップメニューが開かれている。


【どんなものでもガチャの景品となる】


 と書かれていた。モノは試しだ引いてみよう。


 どうやらこのガチャは、十回引けるようだ。


 何でもいい、今の僕には何もない。どんなものであれ嬉しい。


 ガチャ【一】骨付き肉【二】お布団セット【三】煎餅【四】キャンプ道具【五】土【六】木の棒【七】タブレット【八】水魔法【九】釣竿【十】星の種。


 どうやらガチャで入手したアイテムは、全てアイテムボックスにあるようだ。


 詳細を見ると、骨付き肉【生き物を焼いた肉、食べ物】羽毛布団【羽毛でできた寝具】…etc


 気になったのが星の種という代物、詳細にはタブレットに蒔くとだけ。このアイテムに関しては、初回限定確定報酬となっている。


 星の種を実際に蒔いてみよう、いったい何が起きるのだろうか?


 タブレットをアイテムボックスから出してみた。板状で手に吸い付くような触り心地で気持ち良い。


 早速、タブレットの表面に種を置いてみた。しかし何も起こらない。


 あれ?種が消えた。


 タブレットが起動する。なにやらホログラムのようなものが空間に表示された。丸くボールみたいだ。


【無名の星】名前を決めてください。


 名前?名前ね…何もない、始まり。そうだイニティウム何てどうだろう?


【イニティウム】無名の星から、星の名前が変更されたようだ。


「冷たい」


 つい手を伸ばし、イニティウムに触れると。恐ろしく冷たかった。星の表面が硬く、凍っている。


 星に関しては、これ以上できることもないので諦めることにした。


 小一時間、木の棒をブンブン振り回した。手に馴染んで何か落ち着く。


 【水魔法】手の平からダボダボ水が出てきて、止め方がわからないので、とても焦った。


 【骨付き肉】お腹がすいたので食べることにした。こんがり焼けてて、噛む度に肉汁が溢れ出す。美味しいとは、こういうことなのだろう。


 【お布団セット】食べたら眠くなったので、寝ることにした。ふかふかで気持ちいい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

World of gacha-ワールド・オブ・ガチャ- 七星北斗(化物) @sitiseihokuto

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ