第13話


「はぁはぁはぁ。」


「勇者よ。息が絶えているな。」


「お前か…? おまえだなぁ。 ははっ。」


 ゆっくりと剣を構える。

 目の前にいるこいつが、俺に悪夢を見せたのか。


 フェイスは俺の最大の罪だ。


 それを、踏み躙った。


「死ね。」


 奴の腹を切り裂く。

 内臓を潰す。


 もう、こいつは長く生きられない。



「ふぅ。落ち着いたかい? シー。」


「あぁ? っ!?」


 今、何をした…?


「君が魔法耐性が弱くて助かったよ。今使ったのはただの幻覚魔法。頭に血が上れば殺してくれると思ったからね。」


「いや、そんな…」


「あはは。だから言ったじゃん。私を殺せばいいと。」


「いや。それは…」


 ボーの魂のある魔王を殺すのはできない。…はずだ。


「君は、魔王を倒した立派な勇者だ。」


「いや… そんな…」


「誰が何と言おうと、君は勇者だよ。」


「あぁ。あああああぁぁああぁ。」


「おめでとう。勇者シー。」


「君は、勇者だ。」



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