第12話


「どうするの? シー。」

「シー。あと数分でこの城は崩壊するぞ。」


 ヤミとボーから、判断をせかされる。


「まだ、探さないと。…フェイスは助けを求めてる。」


 彼を、見つけなければならない。

 死なせてはダメだ。


「見つけ…ないと…」


 また瓦礫に手を伸ばした時。


「諦めろ。」


 ヤミが、そう言った。


「…もう、無理だ。」




「ごめん。フェイス。」


 なくなった城に向かって、謝る。

 フェイスは、死んだ。


 今、四天王の城はその威厳を失いただの瓦礫と化した。


 …ファイスはもう生きてないだろう。


「仕方ない。逃げなければ全員諸共死んでいた。」


 ヤミがそう、声をかけてくる。

 確かに、それもそうだったかもしれない。


 でも。


「もしかしたら、助けられたかもしれない。」


「シー。それは…」


「僕は謝るよ。…いつまでも。」




 サー・フェイス

 その最期はどんなものだったのか。


 これは、みんなにはまだ言っていない。

 僕だけの秘密だ。


 城の残骸の中、今にも呪いそうなほど見つめる人がいた。


 首から下はない。それでも、その視線はじっくりと僕を睨んでいた。


『殺してやる…』


 彼の、最期はそんなものだった。



 ╋╋╋╋╋



「ゴホッ…グボァ…」


 あぁ。ついに来たのか…?


 サー・フェイス。


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