第8話


 今日は、最後の野宿の日だ。


 魔王城が視界の端に映るほどの近くまでやってきた。

 小さなテントを張る。


「ヤミ。緊張してるか?」


「ええ。しないわけがないでしょう?」


「はは。まあ、そうだよな。」


 たき火をたくことはない。

 食事をとることもない。


 ただ、体を休める。

 理由は一つ。魔王からの奇襲を避けるためだ。今襲われれば、全てが台無しになる。


 静かに、眠りにつく。

 見張りはヤミだ。深夜あたりで交代して、俺が見張りになる。


「おやすみ。」


「はい。ゆっくりお休み下さい。」


 俺の記憶は少しずつまどろんでいく。



 ╋╋╋╋╋



「勇者よ。この者達がおまえの仲間だ。」


「は、はい。」


 ・・・これは、何だ? 昔の夢か?


 っ!


「左から、サー・フェイス、ヤミ・オチ、ボー・キャクだ。」


 この記憶は、勇者パーティーの始まり。王様によって集められた仲間たちだ。

 王様に任を受けた後、兵士に連れられて仲間と対面した。


 ガラガラ。


 ・・・これは、鎖?

 こんなものをつけられた覚えはない。


「ほんっと久しぶりだなぁ! シー。」


「ああ。この迷惑野郎が!」


「あんたのせいで・・・」


 体が動かない。

 鎖じゃない。何かの力が働いている。


「「「死ねばいいのに。」」」


「あ、ああぁぁぁ・・・」


 うるさい。うるさい。うるさい。


 黙れ。いい加減にしろ。

 おまえらがそんなこと言うんじゃな・・・


「なんで殺したの? シー。」


「フェ、フェイス・・・?」


 なんで、ここに。


 あ。ああ。あはは。


 ほんっと、何なんだよ。



 呪うなら呪いやがれ。


 サー・フェイス。

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