第7話


「久々だな、魔王。」


「ああ、その通りだな。勇者よ。」


 ここは、魔王城。

 魔王が中央の椅子に座っている。


 不思議と、恐れはなかった。むしろ、安心感の方が強かった。


 この旅には、終着点があったのだ。それが、何よりもうれしかった。



 ╋╋╋╋╋



「シー。装備品の確認はしたのか?」


「もちろんだ。そんなに心配か? ヤミ。」


 これから、肝心の魔王城に向かうことになるのだが・・・


 明らかに鞄の中には一ヶ月は持つだろう食料の山。何を思ったか、魔王の前で一ヶ月生き延びることも想定するらしい。


「そろそろいこうぜ! ヤミ。」


「はあ。分かりましたよ。最悪の場合でもこれがあるならいいか。・・・いきましょう。」


「やっっっとだ!出発!」


 こうして、魔王城に向かい始める。今は早朝。魔王城につくのはおそらく夕方。一日中歩くことになる。


 所々に、まばらに散らかっていた石が少しずつなくなっていく。

 魔王城の付近は自然環境が消えていく。魔王の濃い魔力によってありとあらゆるものの腐食が抑えられる。そして、植物には正常に栄養が供給されず、魔力で満ちた歪な生物が増え始める。


 これは、魔力浸食地域の特徴だ。


 そして、この地域は魔王の居場所に関係している。

 つまり、魔王を倒すことで自然環境を元に戻し、魔力で満ちた動物(魔物)による被害をなくすことができる。


 これが、魔王を倒す理由だ。

 旅の、始まりでもある。


 不気味なほどに平らな道を進む。

 今日が、最後の旅だ。


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