第4話


「シー。またなにか思い出したの?」


 久しぶりにおにぎりを食べていると、ボーに話しかけられた。


「どうしたの? シー。」


 問いかけるように、彼女は言う。


「涙なんて、シーらしくないよ?」


 そういう彼女も、また小さく怖がりながら。


「そんなに強がらなくてもいいよ?」


 そう言って、優しく包み込んでくれた。



 あの日以来、初めて大声で泣いた。

 ・・・そんな日だった。



 ╋╋╋╋╋



「ボー。これが水筒だ。それで、こっちが荷物。これが非常食だ。」


「はーい。ありがとー」


 ボーが相変わらずの生返事を返す。

 四天王の討伐は、今日で終わり。明日からはいよいよ本拠地である魔王城に挑むことになる。


 肝心の魔王はどんな姿をしているのだろう。

 魔物を作り出し、人間世界の征服を望むという魔王は、何を考えているのだろう。


 今までの長旅の最後になる。


 このまま魔王を倒さなければ。そんな風に思ってしまう。


 ・・・まだ、この仲間でいたい。


「ちょっと、シー? 寂しがるには早いよ!」


「そっか・・・ そうかも、しれない。」


「目の前に集中して、精一杯生きればいいんだよ!」


 ボーは相変わらず、強い。僕なんか、と比べれば。

 また、背中を押してもらった。


 ・・・いつか、背中を押し返せるように。僕も頑張らないと。

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