第20話能力を把握しよう②
先生は次に私の能力が魔力によって発動しているのではないかと考察し、私に魔力があるのか調べる為、両手を差し出させるとその手のひらの上に両手を重ねた。
重ねられた手の平から体内へナニカが流れ込んでくるのを感じる。
すると、今では違和感も感じなくなった、例の胸の奥から湧き上がるナニカが一瞬で自身の体内を満たすと、次の瞬間には先生の手の平へと大量に流れ込む。
「まぁ!?これは…まさかこれ程だなんて…」
先生は驚き、私もその突然の大声に驚き、二人の重ねられた手は離れると先生は自身の胸元を握りしめて乱れた呼吸を整え始める。
「はぁ、はぁ…エリーさん。分かりましたよ…貴方の能力の基礎となっているもの…」
私があんなに苦労していたモノを先生はもう突き止めたのか、流石は勇者の元従者。
私は先生の言葉を聞いて固唾を飲む。
「それは、【増大】でしょうね。」
「えっ?増大…ですか?」
私は予想外のワードを聞いて気の抜けた返事をしてしまった。
なにせジャパニーズアイドルって言うスキル名じゃなかったっけ?それが増大?
「多分ですが、コレはエリーさんの【魅力】を魔力を使用することで何倍にも増大させているのでしょうね。」
「魅力を倍増ですか?」
「えぇ。貴方の詩を聞いた時の印象など、
そうね…
詩には聴き手を楽しませたり、感動させたり、心を浄化する力さえあるわ。
逆に聞くに耐えないとなれば、その感情が不快感が何倍にも増大され相手を苦しめる。
だから、エリーさんは早く詩を上手にならないといけないわね。」
要するに皆んなは私の歌声が聞くに耐えなくて苦しんでいた訳ね。
それで具合が悪くなったり、気絶したりしてたんだ…にしたって、苦しむにしても限度があると思うわ…
「それにしても、コレほどの【魅了の力】見たことも聞いたこともないわね。」
先生はまだ胸元を抑えており、
「こんなに年老いたのにこれ程の胸の高鳴り、一体いついらいかしら…そうね…
これはきっと『あの人』以来…長らく忘れていた感情。
これは『憧れ』と言うのだったかしら…」
先生はどこか思いに耽るように想いを語っていた。
私はそんな先生の感情がなぜかダイレクトに伝わって来る感覚がし、不思議とその場に立ち尽くしてしまう。
なんだろう…まるで置いてけぼりにされたかのような…寂しくて恋しい?
理解できない症状に襲われ、内心戸惑う私に向かって先生は、
「エリーさん。こんな素敵な気持ちになれたのは久しぶりよ。ありがとう。でも…」
笑顔で微笑み、
「老人の心臓をこんなに激しく鼓動させたら、心臓発作で死んでしまいますよ。
おほほ。」
「えっ…えへへ。」
これは笑ってもいい冗談なんだよね?
私は本当に心臓発作を起こしかねないのではないかと思い、目が泳いでしまう中、
先生は先程の話に戻ると、私の中に魔力を注ぎ込み魔力適正があるか、魔力保有者かどうか調べようとしたらしいが、逆に私に魔力を流し込まれてしまったらしい。
魔力にはそんな使い方もあるのかと感心してしまうなか、先生から、本来、魔力とは意識して体内に生み出し、そこから練り上げ、詠唱や祈り、呪文などを唱えることで魔法化したり、
今回のように魔力適正があるか調べたり、魔道士同士の魔力比べ、魔力供給などに使用されたりするらしい。
なのに、私は魔力の存在さえ知らないのに無意識に魔力を送り込み、ましてやその魔力には魅了の力まで練り込められていたらしい。
本来、魔力には適正属性はあるが特殊効果を付与することなどできないらしく、どうやったのか質問されたが、私には分からなかった…
それだけじゃなく、先生は私の体内に魔力を送り込んだが、突如、膨大な魔力によって押し返されたそうだ。
先生にはその気などなく不意を突かれた形だったが、私は結果的に魔力比べで圧勝したらしい。
先生曰く、私の体内には魔力が満ち溢れていて送り込む隙がない程だったという。
それだけで魔力の圧倒的な質、保有量の差を感じとったそうだ。
魔力を無意識で練り込む速さ、体内に魔力を流され、無意識に相手の魔力を体内排除し、更には相手に特殊効果が付与された魔力を送り込む反応速度、
「エリーさん、貴方はいわゆる天才かもしれないわね。だからと言って慢心してはダメよ。」っと忠告された。
私が二つ返事で返事すると先生はにこやかに笑い、
「エリーさん。俄には信じられない話ですが貴方は魔力に特殊効果を付与しているか、もしくは魔力自体に魅了の力が備わっているのかはまだわかりませんが、
どちらにせよ、エリーさんの魅力を際立たせるような行動に魔力が宿り、相手を魅了する力だと考えていいでしょう。
これは使い用によってはかなり強力な能力で故にあたなの能力を欲し、いざとなれば力ずくでも貴方を支配しようとする輩も現れることでしょう。
だからこそ、能力を無闇に見せびらかしたり、己の私利私欲の為にこの能力を悪用したらいけませんよ!」
「はい…わかりました。」
私は先生の分析結果を聞いて、正直なところ、自分の能力に落胆していた。
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