第22話 ダンジョンと魔法少女2


あれから4時間ほど様々な検証と実戦を行った結果、明里は私の持つ魔力と同質の魔力を手に入れたという結論になった。


まだ慣れてないようだが、慣れればたとえダンジョン内だろうとも魔法少女としての力も使えるようになり、たとえ異界の中だったとしても探索者としての力も使えるようになるだろう。私がそうだし。楽しみだな〜


そして今、アリスがさっき出した課題である中層最終階層29階層にいる小型のワイバーンを討伐して近くで観戦していた私に近づいてきた。



「ルー、終わった」


「お疲れ様」



相変わらず抑揚をほとんど感じさせない声で報告してきたので同じように返す。たったこれだけでも大体は無言の会話のごとく相互に伝わっているので問題はない。



「下層は入れるけど入る?」


「入ってみたい」


「じゃいこっか、雷獣、降りるよ」


「ガゥ!」



即答か、まぁこのレベルにまですぐ来れたしもう今だと中層じゃ物足りないよね。アリスも雰囲気にわくわくが隠しきれてないし。

了承も取れたので早速下層へと潜るために暴れられて楽しそうな雷獣を呼び戻してから階段を降りる。


...やっぱり後ろからだれかつけてきてるな、そこそこ前からいたけど何もしてきてないし、雷獣も無視してるっぽいから放置かな。



「後ろは放置?」


「そうね、とくに害はなさそうだし」



アリスも気づいてたか、まーそれもそっか。ダンジョンに初めて入ってまだ数時間だけど魔力と私の検証と指導ですでに油断しすぎなければ下層で散歩できるくらいには強いもん。

ただ、気づいてることだけは伝えておくか。


そう思い簡単な紙を創って「気づいてるけど無害なら放置します」って書いて空中で紙飛行機に折ってから後ろに飛ばした。これでよし。あとは勝手に届くように設定したからね。



「知らせたの?」



アリスが私の行動を見てとくに興味もあんまりなさそうにそう聞いてきた。



「一応ね、あっちのやばいやつならあれで帰るだろうし」


「たしかに、諜報員相手は面倒。しかもダンジョン内で」


「ね」



暈したんだけどなー。そこその前に中華と米の諜報員が家特定してきてつけられたことがあったんだよねーそのときは裏取ってとっ捕まえてから公安に投げたんだけどね。ただ狙いは私だったのに明里も巻き込んじゃったからあれは後悔。少し被害も出たから報復はしっかりと入れた。

あれから諜報員は来てないし余程報復が聞いたのかな?それか政府がなんとかしたのかな?ま、私が気にすることじゃないか。次があればさらに強く報復するだけだし。



そんな雑談をしながら階段を折りきり、下層最上層である30層に入った。雷獣がまた「ガゥ!」と楽しそうに鳴いてさっさと飛び出していき、蹂躙を開始した。私は普通に歩いていくが、アリスは中層との違いを肌で感じたのか少し動きが止まったがすぐ追いついてきた。



「中層と全然違う」


「まぁね、ここ渋谷ダンジョンの下層までは大体5層毎に環境が違うから」


「それもだけどそれだけじゃない」



ん?...あっ、空気感がって事か、そりゃ中層ボスレベルの敵が下層だと雑魚敵扱いだからね、初めて入ったならそうもなるか。



「ふふっ、空気感に敏感に反応できるのはいいよ、危機察知にも使えるからね」



言い換えるなら第六感。これがあるかないかで大きく変わるから身につけておいて損はない感覚だ。信用しすぎても駄目なんだけどね。たまに間違ってるし。



「なるほど」


「それじゃ、戦ってみよう。そこそこ出来たらご褒美に何でも言うこと聞く」


「わかった、がんばる」



ご褒美を決めたからかアリスのやる気がさっきと比べて跳ね上がったような気がする...なに要求されるんだろ、今から少し怖いなぁ...


そこから暫くアリスに戦ってもらい、探索者としての実力を伸ばしていった。死地に近い状況にも何回かなってたし相当成長できたんじゃないかと思う。...終わったときのアリスの笑顔はかわいかったけど迫力があった。


死にかけても助けないなんて厳しいことをしたのにはちゃんと理由がある。人の魔力はなぜか、火事場の馬鹿力を発揮すると戻らなくなる性質があるから効率的に成長させたいなら死地をいっぱい経験して生き残るのが一番いい。ただし、これは秘匿されている。理由は単純で、死人が絶対に増えるからだ。ダンジョン協会としてはそれは不本意だし困るから隠されているというわけである。まぁAとかS以上の人は気づいてるだろうけどね。



「わああああああ!?!?ごめんなさいーーー!?」





◇◇◇◇◇◇


今日はこれだけかも。

♡と★感謝感激です!!!!!!



解説9(合ってるんでしょうか?)


渋谷ダンジョンは世界的にも珍しく環境変化が多いダンジョンとなっている。

最上層の環境は平原

中層は森林(針葉樹林とか熱帯雨林とか色々)

下層は洞窟(鍾乳洞とか少し水没してたりとか色々)

深層はごちゃまぜ。(火山地帯・砂漠・砂浜・山岳地帯等々)

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