第17話 警察の手伝い3

少女は自分が声を出したことに驚いているようで目から困惑が見て取れる。



「一応奥の部屋をチラ見しておきたいんだが...」


「いや!...ひとりは...いや.......」


「うーん...あ、白蛇しろへびこの子の側にいてやってくれ、すぐ戻る」



白蛇は癒しを司る蛇で、通常サイズ30cmくらいで召喚して少女の側に居させる。


少女は少し怖がったものの、なんとか説得して10分かかった奥の部屋に入った。


奥の部屋に入るとすぐキツイ薬品の匂いがして顔をしかめる。



「はははっ、はははは、ははっひひっ」



するとさらに奥から積み上げられてある瓶や箱で遮られているが何者かが笑ってるのが聞こえたので迂回して声のする方へ向かう。



「いひひひひひひっっ、これで、これでようやく!私の長年の夢が!完成する!」



壁まできてやっと前に進めそうな道を見つけて奥を覗くと、白衣を着た30代くらいのおじさんが円柱型の液体で満たされた装置の前で両手を掲げていた。そしてその装置の中にはやはりというか予想通り人に近い獣人と言える少女が入れられていた。


魔力反応的には獣に近いが人とも言える歪な反応...か、さっきの少女にも近いな。人体実験でもしてたのか?それにあれが完成体だとするとどんな力を持ってるかもわからん...今なら無力化間に合うか?間に合いそうだな。


そうこう考えているうちにあのマッドサイエンティストが機会を操作して円柱型のプラント?の中の液体を抜き始めた。それと同時に飛び出してあのマッドサイエンティストの真後ろにつき警告する。



「動くな、両手を頭の後ろに組め」


「...ぬぅ、せっかくいいところだったというのに邪魔が入るとはな」



マッドサイエンティストは不機嫌ながらも渋々指示に従い両手を頭の後ろに回した。



「案外大人しいんだな?」


「ん?ああ、ここで暴れて資料やら機材やらを壊される方がたまったもんじゃないからね」


「あーなるほど。ちなみになんだがここで何してたとか軽く聞いていいか?」



抵抗しなかった理由はわかったが信用はできないのでいつでも再度無力化できるように備えつつそんなことを聞いてみた。


...警察に回収されたらここに二度と戻ってこれなそうだけどいいのか?...まあいいや。



「何って見ればわかるだろう?獣人を生み出す研究さ、正確に言えば上の奴らに量産できる強い下っ端を作れって命令されたから私の趣味も兼ねて獣人を作ろうとしていたのさ、部屋の前の檻の死体はその失敗作だよ。1体だけそこそこ上手く行ったが強くは無かったんだよな、まぁ初めての成功作品だったから取ってあったが。完成品はこれさぁ」



そう言ってマッドサイエンティストは目の前の未だ液体が排出され続けている円柱型のプラントの中の獣人少女を指差した。



「こいつは強さも兼ね備えた完成品たと予測されているのさ、見た目が上の奴らに気に入られないかもしれんがな」


「へぇ...元は何だったんだ?」



そこそこお喋りなやつなことはわかったから色々と情報を引き出せないか色々と聞いてみる。



「ああ、こいつは人間の遺伝子と獣の遺伝子と高純度の魔石だそれらをプラントで培養して生み出したのさ」



ん?人間の遺伝子?人間そのものを実験体としてたわけじゃないのか?...情報が足りないな。



「人間の遺伝子?どうやって調達してたんだ?」


「調達方法は上の奴らに投げてたからしらん、ただ襲う対象は人間の中でもそういう獣人化願望が強いやつを頼んでたな、まぁ変なのしか来なかったわけだが」


「と、いうと?」


「ああ、大体が少年少女とかしか連れてこねぇんだよあいつら。しかも絶望してるか達観してるやつらばっかな。人体実験もやってみたがそっちの適合例は1例のみ、しかも要求性能には達してない。面白そうな力は持ってたが今はこっちが優先だったから後回しにしてたぞ」



ああ、やっぱ人体実験もしてたか。流石にあの牢にあったのぜんぶクローンとは思えなかったが正解だったな。嫌な正解だが。あとこいつの言う適合例がさっき牢にいた獣人少女か。


で、問題はこいつ目の前の獣人少女だよなぁ。いまさっき話してた途中に液体の排出は終わって今は気圧調整中?とかでまだ開けられないみたいだし中の少女はまだ眠ったままだしどうしよ。


...とりあえず手錠創って付けるか。



「手錠か、優しくしてくれよ?」



上に上げてあったこいつの両腕を下ろして手錠を掛ける。その際こいつは特に同様もせずまた素直に手錠を掛けられた。発言は無視。



「で、どうやってこいつらを従わせようとしてたんだ?」


「ん?ああ、俺の獣人は元となった動物の本能も一部残してあるから刷り込みでもしようとしてたぞ、ただまぁそのへんの調査はこれからだったから予測でしかないがな」


「へぇ」



んじゃやってみるか?あーいや、怒られるかなぁー...でもまぁ起きそうだしいいや!やってみよ。



「やってみる気ならそこのボタン押してデータ取ってくれねぇか?あと方法は狼と一緒だ、こいつは狼の獣人として造ったからな」



「んー」



断ったほうがいいんだろうなぁーでもなぁーいやーえーーーー。



「データ取ってればうまく行ったかどうかわかるぞ」


「じゃとるか」



口車に乗せられた気がしなくも無いがそう言って言われたボタンを押した。


そしてその5分後、狼獣人少女が目を覚ました。




◇◇◇◇◇



解説5?

この世界に獣人はいません。でした。




以下関係ない話...?


お久しぶりです作者です。前に30話くらいまで8月中に投稿したいなー的なこと言ったと思うのですが、今思い返してみると8月後半毎日投稿する羽目になりそうでどうしよとなってます。やるだけやるかなぁ...

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