第16話 警察の手伝い2

扉を開けると待ってましたと言わんばかりに魔法攻撃が飛んできたから鋭角を敵に向けた結界を貼って受け流す。受け流しきれないものは結界で止めたり魔力で波を起こして明後日の方向に飛ばした。え、探索者多くない?



「あ〜あ、入り口がボロボロじゃん...まいっか、どうせ建物もボロボロになるんだし」


「おらぁ!」


「これでもくらってろぉ!」



軽く周りを見てそういった後、構成員が4人ほど突撃してきた。武器は...刀2人と銃と刺又?あ、いや待って来たのは5人だ、1人気配も魔力も薄っすいやつが1人ナイフと銃持って近づいてきてる。


刀の一撃をとりあえず片手で受けてみたが体に沿って貼ってある結界に浅い傷をつけるだけで弾き返せちゃったので4人全員同レベルだろうと予想し無視、ガンガン煩いけど構成員4人の精一杯の攻撃5人目の暗殺者を警戒する。あいつら一点突破で私の防御も抜いてくるときがあるから油断ならないんだよ。あー怖い怖い。


ガンと結界が何かを弾いた音を聞き、刀を召喚してその方向をぶった切る。



「避けられたか」



手応えが殆ど無く、気配も消えた。この暗殺者結構な手練だな。私の結界が破れなかったのは朗報かな。

とりあえず構成員4人が少し疲れてきたみたいだし後ろに回って手刀をお見舞いした。2秒で4人が気絶し、この入り口の広間全体に魔力を放出し壁際や2階で構成員が準備していた魔法を破壊する。一部暴走して周り巻き込んで爆発してたが倒す人数が減って好都合だな。


1階の端から2階の端までいた20人くらいを同じように気絶させ、もう一度建物をスキャンしてみたら成功した。



「え、魔導具なのか」



なんと建物のスキャンを妨害してたのは魔導具だった。魔力の跡的にそう判断できる、多分そのへんにあった壺とか置いてあった台座に仕込んであったのかな?5ヶ所くらいあったっぽい。


え、まじかよ。このレベルを準備できるって相当ヤバイ。熟練の魔導具の職人でも囲ってて最低でも下層に降りていっぱい材料持って帰れる探索者がいないと無理だぞ?

...まぁそれを考えるのは警察とか公安の仕事か。


まぁとにかくスキャンができるようになったからして、目の前に3Dホログラムみたいな魔法で表示する。



「逃げ出そうとしてるの2人に戦闘準備してるのが5人かあと。...一々戦うの面倒だな」



ざっとそれぞれの魔力量を測定して大体気絶させて無力化させるのに丁度いい威力の雷槍を無詠唱で放つ。



「ぐぉぉ」


「ぐぁぁ」


「あがっ」


「がぁぁ」


「いだぁぁ」


「あばばば」


「あががが」



遠くから叫び声が聞こえてきた。丁度7人分だったし全員命中したかな。



「『木猿』、悪いけど気絶させた奴ら拘束してこの広間に放り投げててくれ」



木猿(樹木を操れる猿)を3匹通常サイズニホンザルくらいのサイズで召喚してさっき気絶させたやつらの拘束に向かわせる。



「よし、じゃ、気になってる地下に行きますか」



さっきスキャンしたとき地下5階くらいに弱々しかったけど生き物の反応があったんだよな。人じゃ無さそうだったけどよくわからなかったし見に行こう。


薄暗い通路と薄暗い石の階段を降りて、地下5階にあった地下牢に入る。この階は真ん中は通路で左右に牢があって、それぞれ3つづつに分かれている。その奥に1つ部屋があるが...実験部屋か何かだろう。



「...人体実験...か」



牢の中を見ると、そこには人と動物のキメラと呼ぶべき気持ち悪い生物の死骸があった。獣人なんて立派なものじゃないくらいの酷いのしか無かった。まだ腐ってないのは状態保存の魔法がかけられてるからだろう。


奥へ進むと左側最奥の牢からうっすら息をする声が聞こえてきた。見つけた反応の場所とも一致するし探してた反応だろう。


...すぅ...はぁ...すぅ...はぁ...


なんでかわからんが空気は悪くないのでとりあえず深呼吸して気持ちを落ち着ける。



「よし」



意を決して声のした牢を見てみると、そこにいたのは1人の少女...いや獣人の少女だった。耳と尻尾は狐...いや狼?と似たのもを生やしているがそれ以外はほぼ人間に近い見た目をしている。


その牢にいたのは少女1人?1体?だけだった。少女はボロボロの服一枚しか着ておらず、酷くやせ細っており今にも死んでしまいそうな状況だった。


即座に鉄格子を破壊し少女に駆け寄る。少女はすべてを諦めたような目をこちらに向けたが私の姿を認識するときゅっと目を瞑ってしまった。


とりあえず簡易的なベットを魔法で作成し配置、少女をその上にのせてエリクサーを魔法袋から取り出しぶっかける。するとみるみるうちに少女は回復していき、体にあったあざや傷は消え、やせ細っていた体は普通の少女くらいには回復し、髪や耳、尻尾の毛も汚れてはいるがサラサラなストレートロングになっている。



「さて、起きてるか?言葉わかるか?」



少女に優しく声をかけると目を少し開いてコクと1回頷いた。自分の現状に内心戸惑っているようだが怯えてもいるようだ。



「大丈夫だ、助けに来た。とりあえずこれ飲んでくれ」



そう言って少女の背中を起こしてもう一本エリクサーを渡す。少女はまだ怯えているようだが、助けに来たという言葉に絆されたのかエリクサーを受け取って飲み干してくれた。



「よし、とりあえずそれで回復できたろうしちょっと待っててくれ、奥をチラ見してくる」


「いや!........え?」


「お、やっぱエリクサー様々だな。流石万能薬」

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