第11話 使用人工房2
10分ほど待っていると、私達が入ってきた扉の反対側にある扉が開き、イケオジ老執事がお菓子と飲み物を乗せたお盆を持ったメイドを一人連れて入ってきた。
この人はクラン「使用人工房」を束ねている頭取のセバスチャンである。...探索者登録名がセバスチャンらしい。覚悟決まってるなぁ。
「楓様、明里様、遅くなり申し訳御座いません」
セバスが反対側のソファーに座り、メイドさんは飲み物とお菓子を配膳してセバスが座ったソファーの後ろについた。
「いや、そんな待ってないので気にしなくて構いませんよ。それよりも特注品の方が楽しみでして」
隣で明里がお菓子と飲み物を食べている間にさっさと話を進める。セバスもそれを察してか余計な話を殆せず本題に入ってくれた。
「楽しみにして頂きとても嬉しく思います。では、早速持って来させましょう」
セバスが手を2回叩くと、さっきセバスが出てきた扉から服を着させたマネキンを押しながら5人のメイドさんが出てきて、双方に見えるように1列に並んだ。
「それぞれ持っている子達が製作者ですので解説をさせましょう。では、ユサから」
「はい!今回『スノーミックス・オールワークスメイド』の製作を担当致しましたユサと申します。この服は、正統派メイドをモチーフに製作致しました。素材はアイスフロストマナスパイダーシルクとアースロックマナスパイダーシルクを主に使用しており、いつでも快適に着こなすことが可能です。また、アクセサリーはピアス・ネックレス・指輪・腕輪・髪飾りがあり、それぞれに特殊効果が乗っております。これらの素材も多数の高級素材や持ち込み素材をふんだんに使用しております」
一番右側にいたメイドさんがまず初めにマネキンを回しながら説明をしてくれた。見た目は本当に正統派メイドで隙がない!流石ここの工房だな!
マナスパイダーシルク系は相当成長したマナスパイダーが必要だった筈なのでよくこれだけ集めたなと関心する。たしか10枚セットの市場価値が800万とかだっけか。多少の素材を持ち込みはしたが向こうも結構大盤振る舞いしてくれたみたいだな。
明里は外だし相変わらず無表情だが、服を見ながらわくわくしてるのが見ててわかる。
かわいい。もうこれだけでも作らせたかいがあった。
「では続いて2着目の解説に入ります。今回『クリティカル・ローカルメイド・
「続きまして3着目の解説に入ります。今回『アルカンシェル・ゴシックロリータ』の製作を担当させていただいたメイと申します。この服は魔法少女ルミナの服装の色違いのお揃いとして製作致しました。素材は〜」
「続きまして4着目の解説に入ります。今回『桜花・和メイド』の製作を担当させていただいたクルミと申します。この服は和服メイドをモチーフに製作しました。素材は〜」
「続きまして5着目の解説に入ります。今回『ライトナイト・バニーガール』の製作を担当させていただいたサーシャと申します。この服は妹様のご要望で私の趣味全開で製作いたしました。素材は〜」
待って5着目知らない。頼んだの4着。しかも結構
ぱっと明里の方を見たら少し顔を赤くして目を背ける明里の姿があった。
「...明里?」
「...サーシャ、想像以上、感謝」
「ありがとうございます妹様。このサーシャ、感謝感激にございます」
サーシャと呼ばれたメイドが満面の笑みをこちらに向けていて、すごく喜んでいるのがわかる。
あの、どう反応すればいいんですこれ?
明里がいつの間にか注文していたものなのは分かったけど...まぁ趣味は人それぞれよな、私もあれ嫌いじゃないし。
あ、明里の身長は158、私の身長は168だけどルミナのときは
...今度着てみよ。バニー以外ね!
「こんなところになります。お代は先払いで全額頂いておりますので問題ありません。これらは梱包してご自宅までお送りいたしますがよろしいでしょうか?」
セバスが話し始めたのでとりあえずバニー服は放置しそちらへ移った。これらを持ってこのあと移動するのは面倒なので配達してもらうことにする。こういうシステム便利だよな。
「はい、それでお願いします」
「承知いたしました。他になにかありますでしょうか?」
「いえ、...あ、出資話をしても?」
「ええ、勿論ですとも」
私は既にこのクランに大きく出資している。どのくらいかといえば全体の4割ほどだ。大株主に近いかな?使い方違うか?
このクランは結構大きなクランで、日本10大クランの1角に数えられている。
私も明里も使用人工房が日本10大クランの1角だと知ったのは最近で、それまでは趣味人の集まりの中堅クランだと思っていた。趣味人の集まりなのは10大クランの1角になっても変わってないけど。
出資...といってもあぶく銭を気に入ったいくつかのクランに投げまくってるだけなんだけども。まぁ出資は出資だ、それの影響でいろいろと優遇してもらったりしている。今回の対応もそのうちの一つというわけだ。
「で、いくら欲しい?用途もね」
「はい、まず、秋葉原ダンジョンで新たなメイド養成所の建築をしたいための300億。次にクランメンバーたちの要求で、裏メイド隊を組織しようとしておりますのでその費用1000億、次に諸々の研究費を5000億ほど、最後に...」
あれくらいであれば銀行は足りないかもだが追加でいくつかストックしてあるいらないものを売れば余裕で届く額だったのでその場で契約書にサインして、明里とのショッピングを続けることにした。
私の感覚だと推し活に近いんだよね、出資って。だからあんまり出費に気にならない。
ちなみに明里も私もまぁまぁなオタクなのでそういうことにしっかり理解がある。
私の散財に一役立ってるしね!
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