第8話 義理の妹

ダンジョン協会の建物から出たあと、迷路の渋谷駅も抜けて近くに買ったタワマンに入る。


セキュリティーカードをエントランスの人に渡し確認してもらい、確認が取れたらエレベーターで最上階まで上がる。このマンションは私のだから最上階だけ売らずに取っておいたんだよね。最上階は1部屋しか無いし。



「ただいまー」


「にぃおかえり、ご飯できてるから早く食べる」



家に帰ると、黒髪ロング黒目で中学生くらいの身長のかわいらしく少し微笑んだ義妹の明里が迎えてくれた。そう、魔法少女アリスこと瑠美奈明里は私の義妹である。理由は親の再婚。両親は別の家に住んでいるためこの家にいるのは2人だけである。仕送りはしてるんだけど頑なに使わないんだよなあの両親。


そんなわけで2人で食卓を囲み明里手作りの夕飯である。

おいしい。


うちでは2人とも料理はできるから時間ある方がご飯を作ることになっている。まぁ明里の方が上手いし時間もあるからよく明里が作ってくれているが。


特に何も話さず夕飯が終わり、それぞれ風呂も入ったらリビングのソファーに座りテレビでも見ながらゆっくりする。正確に言えばテレビでようつべとか見てるけど。そうしてると、明里が隣に座ってぴたっとくっついてくる。これもいつものことである。あとなんでか明里が魔力を私と循環させようとしているのでされるがまま循環されている。これが何故かなかなか心地良い。



「明里、そういやなんで魔力を循環させてるんだ?」



そういや聞いたことないなと思ったので早速聞いてみることにする。



「マーキング」


「え?」


「だめ?」


「ああいや、だめじゃないぞ。心地良いくらいだ」


「ならよかった」



そんな少し悲しそうな目で聞かれたらいいと答えるしかないじゃんか。最後でまた微笑むのも破壊力高いって。明里のビジュアルめっちゃいいんだから! たえろー


いやそうじゃなくて、マーキング...?なんで?...なんかあったときの場所探しとか用?...まぁいいや、いまんとこ問題ないし心地良いし。


少し時間が経って、寝る時間になったがこれまたいつも通り明里は離してくれないので大きめのベッドで添い寝することにする。


このタイミングで偶に電話やらメールやらくるからスマホを確認するが、



「今日は何も無しか」


「なら一緒に寝る」


「はいはい」


嬉しのを隠そうともせずそう言うのでついつい許してしまう。まぁ最初の頃は慣れなかったが流石に1年以上こんなことを続けていれば流石に慣れたので、今ではほぼ私は抵抗せず明里にされるがままにされていることが多い。



「あ、本の読み過ぎで寝不足はだめだぞ」


「う、気をつける」



私が思い出したことを軽く注意すると、明里は少しばつが悪そうな顔をして布団の中に包まってしまった。


ちなみにだが、私は今高3で明里は高2だ。ここで同棲を始めたのは明里が高1のときで、明里がこっちの学校に通うことになり家のほうが実家より近いし、広さもあるからである。



...少し昔話をしよう。


両親が再婚したのは私が中2のころで、明里は中1のときだった。探索者資格は高校生にならないと取れないし、2人とも魔法少女に覚醒もしてないのでこのときはまだ普通の一般人だった。


学校は実家からほど近いところに通っており、特に可も不可もない普通の私立中学で特に何事もなく過ごしていた。


両親は幸せそうにしていたが、明里は最初塞ぎきっていて、周りと関わりを殆ど持とうとしていなかった。けど私は明里に話に行ったり遊びに行ったり仲良くなろうといろいろなことをしていた。


結果、2年ほどかかったが、それらが功を奏して明里は心を開いてくれた。少し依存気味になっちゃったけど。それもあってか、私が高校に進学するとき、東京の高校に行くことにしたが実家からは遠かったので向こうに部屋を借りて独り暮らしすることにした。しかし、明里が離れたくないと言い出してしまい相当悩んだ。結局明里も1年したら東京に進学して一緒に暮らすってことで納得してくれた。


実家じゃずっと近くにはいたけどここまでくっついてくることは無かったはずなんだけど、こっちに来てからそのへんの遠慮がほぼ無くなってしまった。最初は文字通りなんでも一緒にしようとするので困りに困ったがなんとか今の状態に落ち着けることができた。


...たまに暴走するけど。



あと、私は探索者資格を高校生になったときに取って、色々とやったり無茶をちょいちょいやった結果今のランクまで引き上げられた。才能が結構あったんだろうなぁ。巷でEX教師って呼ばれてる人にも相当な才能があるって言われたし、ただまぁ何度も死にかけたけど。


補足、EX教師って呼ばれてる人はEXに教育してるんじゃなくて、その人のランクがEXで、D〜Sの色んなランクの人を教育してるからそんな名前がついてる。


それと、2人とも魔法少女になったのはほぼ同時で、私が高2で明里は高1の8月に起きた渋谷を中心としたAランク異界の時で、異界発生時にこの家にいたから巻き込まれた。その時急に2人同時にその力にに覚醒した。そしてこれ以上周辺に被害がでても困るし、入り口が飲み込まれてる渋谷ダンジョンでなにか起きるとさらに大変なので、2人で大立ち回りをしてすぐに解決した。そのせいで有名になっちゃったけど。


ただ、実際ダンジョンの入り口が異界に飲み込まれ続けるとダンジョン内で異常が発生しやすいので速攻潰したのは正解だった。あのとき異界の鎮圧は20分くらいで終わったのに、ダンジョンで下層魔力異常-9が発生していてその解決に駆り出されたし。異界の鎮圧に時間がかかっていたら地上までモンスターが上がってきてたかもしれなかった。阻止はできたから完全にもしもの話だけどね。


...まぁ、そんなときの対処法は定めてなかったらしい。なんでかって言ったらこのとき世界中で初めてダンジョンの入り口を飲み込む異界が発生したからだ。これで今後、ダンジョンの入り口が異界に飲み込まれない保証が無いことがほぼ確定した。だからどう対処するかと上の人達は頭を悩ませてるらしい。




◇◇◇◇◇



第2話ほんの少しだけ弄りました。

詳細

魔法少女の人数のところで、あの数は日本全体の人数です。

変更箇所→魔法少女(日本全体)

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