第4話 異界ランクB鎮圧1

ブリーフィングのあと、装甲車に乗って現場まで向かう。



「あなたたちほんとに喋らないわね」


「ずっと本読んでるのですよぉ」



移動中にユキが少し不満そうに、マリナが困り顔で話しかけてきた。



「...すっごく静か...」


「...交流難易度高...」



ヘンゼルとグレーテルも小難しそうな表情で続く。



「喋る必要があんまり無いから」


「うん。喋らなくても、問題無い」



私とアリスは本を読む手を少し止めつつ無表情のまま答える。いや、アリスは少し面倒で眠そうにしている...寝不足かな?



「アリス、寝不足は良くないよ」


「ん、本読んでたらいつの間にか、気をつける」



そんなやりとりをしたあと、また私とアリスは本を読み進める。



「さすがの2人なのですよぉ」


「...意味不明...」


「...エスパー?...」


「はぁ...これだからこの二人は」



4人とも少し呆れ気味に私とアリスを見るが、少しすると諦めたように4人で話し始める。


そうこうしているうちに現場に到着し、私達は装甲車を降りて異界の外周の赤黒い膜の側までやってきた。



「相変わらず大きいわねー」



そう言いながらユキはいつの間にか右手に持っていた雪で出来た小さなソリを握り潰した。直後、右手から体全体に白くキラキラした光が流れ、流れた後から魔法少女としての真っ白な衣装に変わっていった。



「「...変身...」」



ヘンゼルとグレーテル姉妹もいつの間にか手に持っていた飴を口の中に放り込んだ。直後、ヘンゼルは緑、グレーテルは赤の衣装に早変わりした。



「ふふん!なのですよぉ」



マリナもいつの間にか持っていた腕輪を身に着ける。直後、マリナの体が縮まると共に少し光り、妖精のような見た目になった。そしてここは私の場所と言わんばかりにアリスの肩に座る。



「やっぱりここが一番いいのです!」



満面の笑みのマリナの戯言を無視しつつ、私とアリスは近くにいた花の魔法少女の一人に声をかける。



「ねぇ貴方、状況は?」


「え?あっはい。現在は花と星の魔法少女たちが異界の外側と内側に別れていて、外側では異界がこれ以上広がらないように抑えたり、外側の住人の避難誘導を進めています。内側に入った子たちは内側の住人の避難誘導を始めており、予定通りに行けばあと30分ほどで完了する筈です。ですが今回の異界は異界生命体の数が通常時の数倍多くあまり順調には進んでいません。また、コアも未発見です」


「そう、ありがとう」



私が聞き、アリスがお礼を言う。いつもの流れだ。


今回の異界は数が多いから大量殲滅しながらコアを探して討伐するか、避難誘導を手伝う感じになるかな。


コアは異界を生み出している中心的存在で、その形や行動は様々ある。例えば球体で中心から動かなかったり、異形の形をして徘徊していたりする。共通点といえば、その異界で一番強く倒せば異界が自己崩壊を始めて鎮圧することができるくらいだ。


全員の準備が完了したのを確認し、異界の赤黒い膜の中に入る。敵が見え次第剣を空中に生み出し突き刺していく。アリスも同じように剣を空中に生み出しては敵に突き刺している。



「で、今回の作戦はどんな感じなのかしら?」


「「...どう動くー?...」」



ユキとヘンゼルとグレーテルがどう行動するか聞いてくる。今回は地形は変わってないみたいだし屋上移動しようかな。



「んー屋上移動しながら異界生命体を広範囲殲滅、避難誘導してるところを見つけたらそっちの援護。大丈夫そうならコア探して討伐って感じかな」


「把握」


「了解しましたぁ!」



アリスとマリナは答えた後、飛んで屋上へ向かい先行してアリスは剣で、マリナはアリスをサポートしながら殲滅と索敵を開始する。



「つまりいつも通りね」


「...いつもと同じ...」


「...なんの捻りもない...」


「別にいいでしょ、異界を鎮圧できれば何でもいいんだから」



そう言うと、みんなアリス達を追いかけるように飛んで行く。今回の編成は全員飛べるから運ばなくていいの楽でいいな。そんなことを考えながらユキは氷で、ヘンゼルとグレーテルは飴爆弾で、私はアリスと同じように剣で周辺の敵を殲滅しつつアリス達についていく。


さて、避難経路とコアどっちと先にエンカウントするかな〜

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