第2話 領主令嬢
馬車は、ならず者風の野盗に襲われていた。
「チッ!」
メイドを連れ出した方の野盗は、わたしの剣戟を見て戦意喪失したらしい。吹き飛んだ仲間を助け起こして、逃げ出した。
(悪党でもいいトコあるじゃないか!)
いや、関心してられない・・・お嬢様は?
「お嬢様!」
地面に転がる野盗は、ゼイゼイと息を荒げていて、右胸から腹にかけて鋭利な何かで斬りつけたような傷を受けていた。いや、違う・・・獣の爪に引き裂かれたような傷だ。
野盗は、わたしを見つけるとヨロヨロとした足取りで立ち上がって走り去っていく。
(何が・・・起きたの?)
頭の中が整理できずに、わたしは走り去る野盗の背中を見送ってしまう。そして、やっと気付く!
「お嬢様?」
「ラ・・・ラゲルナ様・・・」
脅えるお嬢様は、向かい側の席を指さした。その示す先には、あの黒いモノがいた。
お嬢様の向かいの側の席に、平然と座っている黒いモノ。
「あんた・・・ここで何してる!」
思わず、ローブの上から
「酷い言い方です。
そう言いながらローブの中から出した左手で、胸座を掴んでいるわたしの右手を握った。
「・・・左手が!」
馬鹿な!どうして・・・
それの
「外に出なさい。お嬢様から離れるの、今すぐ!」
不満そうにそれは、席から立ち上がって
わたしは、メイドを
「
「この指輪をお持ち下さい」
それは、指輪を受け取って嬉しそうに微笑んだ。
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