第3話 少女の正体

「ん、ん~!」

剣を抜こうとする少女、しかし背負っていた自分の身長程の剣を鞘から抜くことが出来なかった

「何やってんだ、逃げるぞ」

ブライが少女の手を取ろうとした瞬間

「邪魔だ」

「ぐはぁっ!」

魔族がブライに手をかざすと凄まじい衝撃波がブライを後方へ吹き飛ばした

「おじさん」

「ぐっうぅ」

「さぁ、とどめを刺してやろう」

そう言って魔族は少女を横目に通り過ぎ倒れたブライの元へ歩み寄る

「(俺、ここで死ぬのか?)」

ブライがそう思った次の瞬間

「待ちなさい!」

「んん?」

少女の声に魔族は振り返る、いつの間にか少女の腕には鞘から抜かれた剣が握られていた

「そんなものを抜いて一体どうす」

パアァ

魔族の言葉を遮るように少女の体が輝きだす

「くっ!」

「ぐうぅ」

あまりの光にブライも魔族も目を覆う

その次の瞬間だった

ザシュッ

「グギャー!」

何かを切り裂くを音と共に魔族の断末魔が聞こえる

「何が起きたんだ?」

そう言ってゆっくり体を起こしながら魔族の方に視線を向けると腹部を横一文字に斬られ絶命した魔族が横たわっていた

「大丈夫ですか?」

ブライに向けた女性の声が聞こえそちらに視線を向ける

「..................えっ?」

そこに居たのは少女の面影の銀髪のある剣をもったスタイルの良い裸の女性だった

「あの、大丈夫ですか?」

ブライにもう一度女性が声をかける

「あっ、えっと....服」

「えっ?」

「................」

「................」

無言になるブライと自身の格好に気付いた少女

「きっ」

「き?」

「きゃぁー!」

ばちーん

女性は悲鳴と共にブライに神速かつ強烈なビンタを放つ

「へぶっ!」

ブライは躱すことなど出来るはずもなくモロにヒットしそのまま意識を失うのだった


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魔王の討たれた世界で呪われた勇者は中年男と旅する @onimusyamaru

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