エピソード5:絆と裏切り
【仲間】
高校の部室。
「
『南総里見八犬伝』に出てくる妖術使いや天草四郎も妖術を使ったって言われてるし・・・」
「
洋と和がミックスした感じで・・・」
「ネットで検索したら『魔妖術合神』って出てきたんですよ」
「それ、何それ?意味わからん」
他の仲間たちも大笑いする。
彼らは冒険を振り返り、共に困難に立ち向かい、仲間意識の高まりを感じていた。
【暴露】
賑やかに井戸端会議をしているおしゃべりな女性たち。
「仲良いですね。あの子たち」
「そうね。でもね、
同じく
「そうなのよ。他の人に言っちゃだめよ。ここだけの話だけど。
言っていいのかしら...」
「何かあるんですか?」
「実は...」
そして
「こりゃ、良いこと聞いたぜ...」
トンはニヤリと笑った。
日曜日のカラオケ店内。
「お母さんは元気?」
「あんた誰?急に何の話?」
「かわいそうにな、あんたのお母ちゃん。
トンが意味深に笑う。
亡くなった母は
その父が別の女性と結婚したため、
【葛藤】
「
母が元気だった時の写真を見つめながら、涙をこぼす。
「お母さん、本当に...」
母親の悲劇的な運命に起因する
ベットに横になり、スマホを見た後、天井を見つめる。
ぬいぐるみを抱えて、イヤホンをつけ、音楽を聴きながら布団をかぶり、感情を抑えられない声で叫ぶ。
翌日、高校の廊下。
「やあ!」
「・・・」
「何かあったのかな?あいつ、いきなりどうしたんだろう」
校内で何度か会っても、いつも無視されてしまう。
「既読スルーされちゃって。
俺、嫌われたのかな?マジで意味不明だわ」
「嫌だな、あの人。近づかないで!」
感受性の高い年頃の彼女にとって、思い詰めて言い放ったこのきつい言葉は、父親もその息子の
最終的に、
【試される友情】
他の仲間も不審に思い出す。
そして友人たちの誤解と摩擦を生む・・・。
孤独と手持ち無沙汰でイライラしていた。
「もういい!郷土部は解散だ!解散!」
と、大声で叫んだ。
感情の揺れや対人関係の難しさを乗り越えていく中で、彼らの絆が試される。
【転機】
スーパーマーケット店内。
母親が早く亡くなった
今夜の献立を悩んでいるところに、
「
この頃、
何かあったの?
あんたたち、あんなに仲よかったのに。どうしたの?」
「...知らない」
「
おいで!行こ!」
渋々、ミホについて行く。
「何があったか話してみて。相談に乗るから。
こう見えても若い時は
話してみて」
「実は・・・」
「あ〜、そのこと。
息子から聞いてた話だけど・・・」
ミホが息子の過去について、語り始めた。
そこで同郷だった
しかし、新人でまだ無名の歌手だった彼女は、世界のひのき舞台で活躍したいと言い出し、米国のニューヨークに行ってしまう。
今のようにケータイも普及しておらず、メールやSNSもない時代のことだ。
彼女は体調を崩し現地で入院後、住んでいたアパートを引き払う。
彼も東京で転居を重ねたため、出した手紙はお互い 住所不明で差出人に戻り、音信不通になってしまった。
彼は、彼女にはニューヨークで好きな男性が出来たに違いないと思うようになり、アルコールに溺れる。
自暴自棄になり、仕事も手につかなくなって、職を転々とする。
(再現シーン)
東京の新橋、カード下の居酒屋でやけ酒を飲む
「あいつなんかどうせ別の男と...チキショウ!」
大声で叫んで、テーブルを叩いた後、椅子から転げ落ちた。
「落ちるところまで、落ちたもんだ...」
へべれけになって、つぶやく。
愛情と憎悪は裏腹で、恨んではみたものの、好きだという彼女に対する正直な気持ちは変わらなかったが、月日があまりにも経過してしまい、もうどうにもならない、彼女のことは諦めるしかないと思った。
そしてとうとう、東京での生活に辟易してこの島へ帰郷してしまった。
その後、別の女性と結婚し、
一方、彼女は夢を果たそうとニューヨークへ渡ったものの、チャンスをなかなか掴めない。
生活費を稼ぐためにバーでダンサーなどをしてるうちに、無理がたたったのか体調を崩し、活動をあきらめ帰国した。
この島に帰った後、他の男性と結婚するが、
(再現シーン)
幼い
「こうやって手のくるぶしのところまでお水を入れるのよ」
幼い
「ここまで?」
「そうよ、うまく炊けるといいね」
「うん、お母さん!」
「お味噌汁も作ろっか」
「うん」
二人はキッチンで肩を並べ、笑顔で料理をしていた。
キッチンの窓から差し込む夕日が、笑い声に色を加え、温かな雰囲気を作り出していた。
幸せな瞬間が永遠に続くかのように感じられた。
しかし、幸せはそう長くは続かなかった。
母が突然倒れ、病院での検査の結果、治る見込みのない病であると告げられた。
医師からの宣告は残酷で、母には残された時間がわずか半年しかないという。
かつてのようにキッチンで肩を並べるが、今は涙を隠しながら、母は強く微笑み、残された時間を最大限に生きることを誓い、幼い娘に料理を教えたのだった。
母の病室。
病室で母の最期を看取る幼い
「料理、上手になった?」
「うん。おとうさん、おいしいっていってくれる!」
「良かった」
笑顔の裏には、愛する家族に対する深い愛情と、訪れる別れの寂しさが隠されていた。
母は
外は静かに雨が降り始め、窓の外の
部屋は静寂に包まれ、ただ母の声だけが穏やかに響く。
「
一人でもしっかり生きていけるように、お母さんが教えたのよ。
大人になったら、素敵な人を見つけてね。そしてお母さんの分まで、たくさん幸せになって。
天国からずっと見守っているから...」
そう言い残し、帰らぬ人となった。
母の手の力がゆっくりと弱まっていく。
「死んじゃ、やだ!母さん!母さん!...」
泣き崩れる
病室の窓外の
ミホは長い間封印されていた古ぼけた木箱を持ってきた。
ミホは箱から一枚の手紙を取り出し、
「読んでごらん」
手紙は息子が
それには亡くなった彼の筆跡で、愛と苦悩が混じり合った感情が綴られていた。
彼の言葉からは、愛しているが故の葛藤と、結ばれることのできない切なさが伝わってきた。
(手紙)
美しき薔薇も、やがては枯れ朽ち果てる運命にある。
君の優しい微笑みも、時が経てば消え去ってしまうだろう。
恋の激しい炎を消し去るもの、それは死のみ。
かつて共に観た映画「ロミオとジュリエット」のDVDを手に取り、結ばれることのなかった二人の姿に自らを重ね、涙を流した。
帰国後、君がコンサートを開いたことを後に知った。
もしそのことを知っていれば、会いに行くこともできただろうに。その縁がなかったことを悔やんでやまない。
そして僕らは、放物線の軌跡のように、二度とこの世で結ばれることはないのだと、己に言い聞かせたのだ・・・。
::::::::::::::::::::
その後も彼女がこの島に戻って来たという噂を彼は耳にしたが、ぎくしゃくした関係は二度と戻らず、再会する事はなかった。
ミホはそっと花音の肩に手を置き、優しく語りかける。
「お互い好き同士でも、結婚できないこともあるのよ...」
ミホの温かな手の感触を通じて、その言葉の重みを感じ取り、少しずつ心の整理がつき始めた。
「そんなことがあったんだね…」
わだかまりが解け、
部屋には夕日が差し込み、その温もりが
ミホが畑から帰ってきた
「お帰り
「ごめんね。
「愛って、終わりなき信頼だよね」
「母とあなたの父の間の愛、全部受け止める。
それが私にどんな意味を持つか、これから見つけていく」
そして
「大人になったら、素敵な人を見つけてね。そしてお母さんの分まで、たくさん幸せになって。
天国からずっと見守っているから...」
母が亡くなる前に語った言葉を思い出した。
「愛はどんな状況でも相手を信じ続けること。
私も母さんの分まで幸せになれるかな?」
彼はうなずき、優しく彼女の手を握った。
乗り越えた全ての試練は、彼らの理解を深め、言葉を越えた信頼を育てた。
二人の絆は、かつてないほどに深まっていた。
目の前の困難を解決したことで、その繋がりはもはや揺るぎないものとなり、心からの愛情が静かに交わされた。
また、同時に新たな謎やジレンマが始まろうとしていた。
(次回予告)
いよいよ、悪党のトレジャーハンターたちとクライマックスバトルを繰り広げることになる。
悪党が放つ雷の矛先は
「マジでヤバい事態だよ!」
「もうダメかもしれない...」
(続く)
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