第10話 気分転換
「ごめん牧師……」
「良いですよ。怪我はありませんか?」
水を少し被っているからか目が潤んでいるようにも見える。とりあえず着替えて来るように指示を出しその間に破片をすべて集める。花も散ってしまい生けるには少し不格好となってしまった。
「仕事増やしてしまった……ごめん」
辺りを見れば床にゴミは一つも無く椅子も奇麗に揃えられている。しっかりとしてくれている。
「良いですよ花を見に行きますか?」
ゆっくりと頷く。気分転換も出来るだろう。
普段よりも歩くスピードが遅い。そこまで落ち込む事ではないと思うのだが、気に病んでいるならば少しのフォローと時間を与えればいい。そして生き物は育っていく。by,神。
「余は役に立っているか? 最近迷惑ばかり掛けている気がするんだ……今日もその分と思ったがこんな調子で……」
いつもの事過ぎて少し戸惑う。昨日は確かにだいぶ困る状況だったがもう問題なく終わった。ならばそれはそれで良い。
「ちゃんと役に立ってくれていますよ。昨日も言っていたじゃないですか札を強化してくれていたんですよね? とって助かります。今日だって水を変えてくれたのでしょう? 充分役に立っていますよ」
「そうだが……」
「安心してください。『この世に生を受けたものは役に立つ。命を救うような救済をしている』って言葉もあるんですよ」
「……まだ救った事ないぞ」
「……これからですよ」
村の花やに到着しいろいろと見て回る。どれも奇麗だいるだけで心が安らぐ香りが気分を良くする。これには反応し落ち着きの無さを取り戻し始めあちこちと見て回る。
「これとかいいんじゃないか? 奇麗だぞ」
真っ赤な花弁がとても奇麗な花を指さす。
「そちらはグロキシニアとなっています。豪華で美しいですよね」
鉢まで買わなければいけないので思っていたのと違うが見た目も良いので買ってみるのも悪くないだろう。落とした時には土がばら撒かれるのは面倒だというは置いておく。
「良いですよ。水をちゃんと上げてくださいね」
「任せておけ!」
すっかりと機嫌も良くなりいつも通りに戻ってしまった。今日みたいに手伝いをしてくれるとありがたいがそう上手くは行かないだろう。
「今日の飯はなんだ?」
「……村まで来ましたし良いですよ? お店に寄って行っても」
「本当か!? じゃあさっき見かけたあそこが良いぞ」
「あそこのお店はおいしいですよ」
すっかりご機嫌になった。
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