第5話 ホーリーは危険
「……──リー」
「ホーリー」
「ホーリー」
「ホーリー」
「ホ──」
「朝からそんな事したら寝れないでしょうが!!」
神聖な神の御加護を行使していると朝から魔族が怒鳴ってきます。
「これも牧師の仕事なんです。しょうがない事です」
「我は魔族だぞ!? そんなもの何回も浴びれば力が弱くなっちゃうでしょうが!」
「知りませんよ、そんな事」
魔族の動きが活発になり、困っているという事を聞いた。こういうことは我々神の御加護を行使できるものが結界などを張ったり、魔除けの札を作ったりして対応する。
「知らないとは何だ! 我は魔族の中でも最強と言っても過言では無いのだぞ!!」
「……ホーリー」
呪文を唱え神聖な光と共に目を抑えのたうち回る。目に辛いものでも入れたのか? と、思うほど。
下級の方である『ホーリー』でコレならば聖女様の御加護で消滅してしまうのではないか? と、不安が過ぎる。
「本当に強いんですか?」
「もちろんだとも! 我がいれば安心だ!!」
「じゃあ、付いて来てください。最強と言うのならば」
「どんな奴でも倒してやるぞ」
たくさんの加護をかけた札を持ち、森へ向かう。等間隔で木などに貼り付ける。
「…………」
少し移動しては貼り付け、また移動する。
「…………」
食べれるキノコを手に取り経費削減もこなす。
「……え?」
「どうかしましたか?」
「いや、敵は? 我を試すんだろ?」
「いや、ただの護衛です」
キョトーンとしている間にも札を貼り付けまた移動する。今の所魔族や強い野生生物にも出会っていない。安全で良い事だ。
「街の周りの次は街道沿いにも貼りに行きますよ」
「……つまんない!」
そろそろ始まるとは思っていた頃合だ。
「今日のおやつは豪華ですよ」
「もうつられないぞ!」
とは言いつつ動けばちゃんと付いてくる。なんとも扱いやすくて助かる。
作った枚数分は全て貼り終わり、これで魔族の侵入も少なくなるだろう。かと言っても気休め程度にしかならない。侵入が出来ないわけではない。コイツも普通に通り越して逃げてきたしな。
日も高く昇り、通行人も増える。街道の両側に魔除けの札があるため、ど真ん中を歩くしかない。
当然目立ち、全員が角を見る。牧師の隣を歩いているからか何も言われないが、視線はあまり良くない。
「あんまり他の人に顔をとばさないでください」
なぜ見られるかが分かった。こんな事をしているからである。少し対応に困りつつも止めるように言う。
「最初はアイツらから見始めたんだぞ!? だから余もすこ~し怖く見てやっただけだ!!」
それにしては魔力も感じとれた気がするが、気のせいだったのだろうか……
また歩き出すと後ろから感じとれる魔力は本物だ。通り過ぎる人もビビり、端を通っていく。まるで自分が避けられているような感じもしてなぜか悲しい。
「昼は途中の所で食べますか。手伝ってもらいましたし、少し高いのでも良いですよ。だからその魔力を止めなさい」
バレていたのか!? と、驚きの表情をなぜか浮かべ、魔力が消えていく。次第に表情も和らぎ、よだれをすする始末だ。
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