第95話 サポーター達への差し入れ

古化

「ちょいと失礼しますよ。」


 古化はMルームに行きサポーター達もプロディガルと同様に、過酷な任務をしている事を悟ってちょっとした「差し入れ」を用意した。

多分最初は喜んでもらえないどろうと思ったが、皆の為を思い気を使っているのだ。


「どうですか、新たにサポーターとして活躍をして頂いている13名の皆さん。過酷な任務ではあると思いますがS・F・Cを背負い、プロディガル達の命をも一部預かっている重要な職務でありますので、どうかモチベーション上げ上げで頑張って頂きたいと思います。」


「今ここへ来た理由は頑張っている皆さんに細やかですが、差し入れをと思い持って来ました。手の空いている時で良いですから、召し上がって下さい。」

「あ、もちろんサポートをしながらでも構わないですよ。」


 そう言いながら、古化は全員のデスクの上にS・F・Cの厨房でシェフたちが作っている、商品化はされていない「賄いケーキ」とドリンクを置いた。


超剛

「古化さん、このケーキメチャクチャ旨いです。何処で売っているのですか?もっと食べたいんですけど。」超剛は切れ長の目を丸くして言った。


土崎

「本当に旨い!俺ももっと食べてー!一個じゃ足りないぜ。」土崎は金髪頭を掻きむしりながら言う。


古化

「そうか、やはり皆さんもそう思いますか。実は商品化をするしないで迷っている様だったので、Mルームの皆さんの意見をと思い13個だけ作ってもらったのです。」


小守

「これは商品化しないとダメでしょー!こんな美味しいモノを厨房の人達だけで隠れて食べているのは、非常ズルいことです!断固、商品化を希望します。」フンフン。


夜見

「そうですわ。この様に美味しいモノは皆さんと共有して召し上がる事で厨房の皆様の事もリスペクト出来るのですわ。甘いモノも脳にとても良いと聞いておりますわ。」


宙治

「うーん、これは俺が知っている高級スウィーツショップ『スウィーツテン・ダイヤモンド』銀座店のケーキに匹敵するくらい旨いぞ。」

「古化さん!おかわり!」 そんな店があったとは初耳であった。


風海

「そうじゃな、ここにいる皆は分かっとらんと思うが、ワラワが知っておる有名な菓子屋でシャト〇ー〇という所があるのじゃが、そこのケーキよりも美味いと思うのじゃが。」


小守

「それ全国にあるチェーン店ですからー!知らない人がいない程有名ですからー!」

「お前ボケとんのか、ボケとらんのかどっちなんじゃぃ。」ハァハァハァ・・・。


しずく

「うん、本当に美味しいです。この味私大好きです。これなら無限に食べれちゃいそうです。」


利乃

「ちょっとこれ、マジ旨いんだけど。誰かケーキ嫌いな人とかダイエット中の人いない?あたしが食べてあげるわよ。いたら持って来て。」


超剛

「古化さん、このドリンクですが・・・これいつも飲んでる激マズのDHAドリンクに似てますけど、それですよね。これ飲むと確かに記憶力が増すのは認めますが、モチベーションが減退するんですよー。」


土崎

「古化さん、俺も同意見です。これ、のどが渇いていても中々飲めないです。」


古化

「やっぱりそうですよね。実は私も同じ意見です。飲めと言われても断りますね。しかし、今回持って来たDHAドリンクは今までの物とは違います。研究に研究を重ねて美味しく飲みやすくなった改良品を持って来ました。」

「ボトルの表示を良く見て下さい。何と書いてありますか?」


超剛

「おっ、イチゴ味と書いてあるぞ。」


土崎

「本当にイチゴ味ですか? 本当に飲みやすいのですか? 信じ難い。」


山竹

「じゃ僕がさ飲んでみるからさ、任せてよ。」


土崎

「えっ山竹、お前入院していたのではないのか? もう大丈夫なのか?」


超剛

「いつ戻ったんだ? 聞いて無いぞ。」


山竹

「たった今さ。トラ子さんもレッドさんも僕も、キチンとメンタルケアを受けたお陰でさ、三人共少しの入院で済んだのさ。」

「トラ子さんもレッドさんもベテランだから理不尽な死に方は何回も見ていて、明日は我が身とも考えているのさ。だからこそ、仲間の死に対して落ち込んではいられない、この様な事は少しでも無くす事が先決だと考えているのさ。とても強い意思だと思ったさ。」


「僕は、入院中に2人の話を聞き、2人に励まされ心を救われたのさ。」


 そして、山竹が最初に「DHAドリンク・イチゴ味」を飲んだ。すると、直ぐに感想を言い出した。


山竹

「こ、これはメチャメチャ美味しいです。何と言うか、もぎ立てイチゴのフレッシュな感じがして、何杯でも飲めちゃう感じですね。皆さんも早く飲んだ方が良い。飲まないのなら、僕にください。」


土崎

「お、おう。凄く分かりやすかったぞ。本当に美味しいのだな。食レポが上手いと言うよりも、もの凄く感情が伝わって来たよな。」


超剛

「こんな分かりやすい説明も中々無いな。山竹が標準語になるとは・・・。」


 それを見ていた全員も一斉に飲み出した。


全員:

「本当だ。美味い。何杯でも行けるぞ。古化さんおかわり下さーい。」


古化

「ははははは、分かった、分かった。追加を寄こすので任務をしっかり頼みますよ。」(これでDHAドリンクの問題は解決しましたね。そして、あの賄いケーキの商品化も進めても問題無さそうですね。あー良かった。)


 皆は山竹に賄いケーキの食レポも聞きたいと、感想を求めたがケーキは丸飲みにしていて、味は分からない様であった。

 皆苦笑いをしていた。

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