第96話 古化、そして押花からの話し
古化
「美琴くん、流聖くんとテツさんを呼んでくれないか? 話したい事があるので私の部屋まで来るように伝えてくれますか。」
押花
「はい、かしこまりました。それと社長、その話には私も同席してもよろしいですか?」
古化
「ああ構わないが、何かあるのですか?」
押花
「ちょっとあの2人に伝えておきたい事がありまして・・・。特に流聖くんには・・・。」
古化
「そう言う事なら、是非話してやってください。では、私は部屋で待っているとしますか。」
古化はマイルームに戻って行った。
押花
「もしもし。流聖くん、テツさん至急古化社長の部屋までお越しください。」
押花はピアースフォンで二人を呼び出し、押花も古化の部屋で二人が来るのを待つ事にした。少しして2人は古化の部屋に入って来た。
2人
「失礼します。何か御用でしょうか?」
テツ
「その前に言わせて下さい。先程の戦いの件は済みませんでした。自分一人では対等に戦える相手では無かったので、流聖くんに応援してもらったのですが、それでもどうする事も出来ず、帰還させて頂きました。」
「あれ程迄に強い敵がいるとは誤算でした。流聖くんも危険な目に合わせてしまい、申し訳なかったと反省しています。」
「ただ、彼は新人でありながら足を引っ張る処か、有効な戦いをしてくれて自分も助けてもらい、心強かったです。」
流聖
「テツさん僕の事褒め過ぎですよ。そんなに役に立ってませんから・・・。」
古化
「いや、無事に帰還してくれて良かったよ。これで良いんだ。テツさんの判断は完璧でしたよ。この判断を誤ってしまうと、もしかすると2人共死んでいたのかもしれません。」
「怪物を仕留められなかった事は残念ですが、絶対にまたチャンスは来ます。」
「私が2人に聞きたい事は別にあります。2人が戦っていた怪物ですが、単独だったのですよね? 戦っていて何か感じませんでしたか?」
「例えば、仲間がいる様な感覚。ボス的な怪物が近くにいたとか・・・。」
テツ
「いえ、全く感じませんでした。奴、一体だけだったと思います。」
流聖
「僕も必死でしたので仲間の存在までは確認出来ていないです。他に敵がいた場合、もっとヤバイ事になっていたと思います。」
「・・・アイツらは何処から出没して来るのでしょうか?」
テツ
「奴らの根城が解かれば、そこを叩き一網打尽に出来そうですけど、我々の今の力では歯が立ちませんけどね・・・。」テツは苦笑いをする。
古化
「そうです。その根城とやらを見つけ出せれば対策の打ちようもあるのですが、お二人もその様なものは見ていないのですね。」
「しかし、今後その様な場所が見つかるかも知れませんので、戦っていて気になる事があったら些細な情報でも構わないので連絡をして頂きたい。」
「そう言えば美琴くん、彼らに何か伝えたい事があるのですよね。」
押花
「はい。私事の話になりますが、私の姉もある怪物に命を奪われて息を引取りました。姉には子供がいたのですが、一緒にいた子供は一命を取り留めましたが障害が残ってしまいました。」
「幸せに暮らしている罪も無い人達の命を奪い続ける怪物ども、私も絶対に許す事は出来ません。」
「プロディガル達が怪物と戦っている時、怪物は言葉を話すと聞きます。もし、可能であるのなら生きたサンプルを連れて来る事は可能でしょうか? 言葉を理解しているのであれば、情報を聞き出す事も可能であると思います。」
テツ
「分かりました。今までは撃退し息の根を止める事しか考えていませんでしたが、言われた通り生きている状態で捕まえれば、そこから進展がるかもしれませんね。やってみます。」
「しかし、今回の様に強力な怪物が相手では、逆に俺等が捕まって捕虜に成り兼ねない。やはり、怪物より強く強力な能力を手にしない事には始まらない。初心に戻りトレーニングをやり直す。それからですね。」
流聖
「僕も、もっとトレーニングをして結果を出してみせます。」
古化
「美琴くん、話はもうおしまいですか?」
押花
「はい。お二人に私が伝えたい事はさっきの事だけです。」
古化
「では、以上で話は終了です。部屋に戻り好きな様に過ごして下さい。」
2人は部屋へ戻ろうとした時、押花が流聖を呼び止めた。
押花
「流聖くん、君に渡す物があるのです。これを持っていて欲しいの。これは、トラ子さんから預かったものだけど、何だか分かる?」
押花が流聖に手渡した物は、キラキラ光る石の様なモノであった。
流聖
「いえ、見た事は無いです。宝石か何かですか?」
押花
「これは、先日怪物との戦いで亡くなってしまった『クレアさん』のベビーストーンよ。」
「彼女は水の使い手であり、あなたと同じ能力の持ち主だった。宿主を失ったベビーストーンは徐々に輝きを失い元の石に戻るとされているの。時間を掛けて宿主と共に成長して来たベビーストーンを、このままにしておくのはクレアも残念に思うと感じるのよ。」
「しかもね、このベビーストーンは彼女が亡くなってしまった今でも、その輝きを失っていないのよ。」
「私の想像でしかないのだけれど、クレアはそのベビーストーンの中でまだ生きているのではないかと思うの。だから、流聖くん。このクレアのベビーストーンを、あなたが持っておいて欲しいのよ。彼女の為にも。」
流聖
「ぼ、僕なんかがクレアさんのベビーストーンを持っていて良いのですか? 家族とか兄妹とか、恋人とか・・・その人達が持っていた方がクレアさんも喜ぶのでは、無いですか?」
押花
「普通ならそうに思うはよね。クレアの過去を話すは・・・。」
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