第88話 続く戦い

利乃

「誰か、手の空いている人はいない? 応援要請がまた来てるけど私は手いっぱいでこれ以上は無理よ。」


天空

「私も手いっぱいだぁー。誰かいないの? 天乃はどうなのよ?」


星川

「ヤヨ、私も無理よ。頭がおかしくなりそう。こんなの人間が続けて行けるの本当に!マザーや勉さんはこれをどう、こなしていたわけ?」


超剛

「夜になるまでの辛抱だ、怪物は夜になると極端に活動をしなくなる。理由は分かっていないが、暗くなるまで頑張るしかない。」


山竹

「あのさぁー、僕なら手が空いてるけど僕じゃダメかな?」


利乃

「山竹? お前手空いてんのか? だったら直ぐにここから1,000㎞離れている北海地区の応援要請に応えてやってよ。かなり手こずっている感じみたいよ。」


山竹

「うんわかった。僕やってみるさ。」

「もっしー、サポーターの山竹ですけど、どんな状態ですかさ?」


レッド

「サポーターの人か、随分遅いじゃないか。マザーだったらこんなにも待たずに応えてくれてたけど・・・まっしょうがない。」

「怪物は『岩石属性』だが、俺は火の使い手だ。どうやら分が悪い様だ。さっきから戦いながら色々な手を試してはいるものの、全く効き目が無さそうなんだ。」

「いくら攻撃してもほぼ吸収されるというか、無効になるというか・・・勝てる気がしない。」

「おまけに、逃げ足が速く奴の動きが読めないんだ。どう対処して良いのやら困り果てているのが現状だ。」


「奴の実力からしてそんなに強くは無いと思うが、あーチョロチョロ逃げ回られてはこちらの体力も無くなっていく一方だ。」

「誰か、岩石属性に対抗出来るプロディガルの応援を依頼する。」


山竹

「了解、僕に任せとけば良いさ。」

「えー・・・。いたいた。もっしー、僕はサポーターの山竹ですけど今大丈夫かさ?」


トラ子

「はい大丈夫ですけど、どちら様ですか? もう一度お名前と要件をお願いします。」


山竹

「名前は 山竹里志です。要件は、今他のプロディガルから応援の要請が来ていて、それを手伝ってもらいたいと思ってるのさ。」


トラ子

「ああ応援要請ね。私は電気しか使えないけど大丈夫? それに、おばあちゃんですけど。」


山竹

「うん、問題無いさ。絶対にあの怪物に効果あると思うからさ。」


トラ子

「そう、ではその困っている人の所まで送って頂けるかしら。あっちょっと待っててね。お爺さんの写真に手を合わせてから行きたいからね。」

「チィーン。お爺さんちょっと出掛けてくるわね。直ぐに戻って来ますから。」

「山竹さん、良いわよ。送ってちょうだい。」


山竹

「それじゃー送るさ。ポチッ。   ホイサー。」


 電気使いのトラ子は山竹により、1000㎞も離れた北海地区に現れた怪物と戦っている「火の使い手であるレッド」の元へ送られた。山竹の最初のサポートは有効であるのだろうか、否か。学習した事が100%出せ、Material×Material=プラスの効果となれば勝算もあるが、一体どうなってしまうのか。


レッド

「あ、どうも。自分はレッドです。応援ありがとうございます。この戦いですが結構危険だと思いますけど大丈夫ですか?」

「俺は、自分の事で精一杯なので、おばあ様の事まで守れるかどうか?」

(何でこんな年寄りなんか寄こした。一人で戦うよりも手が掛かるじゃねーか。この婆さん死んでも知らんぞ。サポーターのせいだぞこれは。)


トラ子

「私のプロディガルネームは『トラ子』よ。何故かと言うと私は電気の使い手だから、電気=カミナリ=雷神様=トラ柄のパンツ という訳よ。どう? おかしくないでしょ。」

「それに私の事は心配しないで、自分の事は自分で対処出来るから大丈夫よ。」

「それよりレッドさん、あなたの後ろに怪物がいるわよ。ちょっとだけ伏せて。」


 レッドは怪物の気配に気付いていなかった。しかし、トラ子には怪物の動きが読めていた。レッドが伏せた瞬間にトラ子は持っていた杖を利用して怪物に攻撃をしたのだ。

「サンダー・アロウ!  ビシビシビシビシ・・・・・・。」


トラ子

「まさか、外したわ。あの至近距離でアロウを外すなんて。あの怪物相当なものね。」

「でも、次は外さないわ。」


レッド

「トラ子さんのあの攻撃を交わすとは・・・。俺の攻撃は吸収されたのでは無くて、最初から当たっていなかったのですね。」


 すると、今度は怪物が攻撃を仕掛けて来た。その辺にある石を拾いくっつけて2個の塊を作り、それを両手に装着した。両手を胸の前で「ガンガン」とぶつけ確認をすると瞬足を生かしこちらに殴り掛かって来たのだ。

 レッドは、瞬足を生かした怪物が襲い掛かって来る事を分かっていた。怪物の攻撃をギリで交わすと、そのまま怪物の後ろに回り思い切り攻撃をぶつけた。


レッド

「青炎のクラスター!」  ボワーァァァァァァァー・・・。


「当ててやったぞ!どうだ、俺の攻撃も当たればダメージはあるだろう。」


 怪物はメチャメチャ熱がっている。レッドが放った攻撃は、怪物の全身を青白い炎が包み込み勢い良く燃えている。怪物はたまらず、近くにあった池に飛び込んだ。まるで焼けた石を水の中に入れた様な状態になっている。

 少しして怪物は立ち上がると、レッドの方を向き指を指した。


怪物

「アタマニキタ! オマエゼッタイニ コロス。」


 しかし、その一瞬をトラ子が見逃すはずは無かった。トラ子はお婆ちゃんだが戦い慣れしたプロのプロディガルである。戦い方を知っているのだ。


トラ子

「サンダー・ハント」


 稲光を発しながら電気の帯が怪物へと向かって行く。しかし怪物は瞬足を生かし、またしてもトラ子の攻撃を交わしたのだ。

 だが、トラ子が放った電気は「ハント」だ。「ハント=狩る」であるという事は、怪物を追駆するのだ。電気の帯は、怪物が逃げた方向に曲がると怪物を直撃した。


「バチバチバチバチ・・・・。」    「グガァァァァァァァ・・・。」


直撃を受けた怪物は一瞬気を失い掛けたが、我に返り岩陰に隠れた。


トラ子

「レッドさん、あの怪物私のサンダー・ハントを真面に喰らったのに倒れないわ。もしかしたら、私とあなたで戦っても無理の様な気がするわ。どうしましょ。」


レッド

「一旦、引いた方が良いですか? あの怪物もしかしたら体力もRED以上あるのではないですか? だとしたら、手強いですね。」


トラ子

「ちょっと待って。私、良い考えを思いついたわ。任せて頂けないかしら。」


レッド

「良いですけど・・・。何か策でもあるのですか?」


トラ子

「凄い物が見れると思うわ。多分ね。」

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