第83話 ブリーズって・・・
城
「しずくさん、ゆっくりしてる暇は無いぜい。次の要請のサポート頼むぜい。ヤバイ位忙しいぜい。」
しずく
「はい、承知しました。」
ブリーズ
「応援要請をお願い。私一人で戦っているのだけれど相手がわるいわ。私の風に対して怪物は『怪力属性』なのよ。しかも、今まで戦って来た中で一番強いかも。」
城
「了解、俺に任せるといいぜい。何処かにプロディガルがいないかな・・・。」
「おっいた、いた。ポチッ。」
「モッシー、リッキーさんですか? 今風使いのプロディガルから応援要請が入ってるんだけど、対応出来るかい?」
リッキー
「いかにも私はリッキーですが他のプロディガルからの応援要請ですか? 任せて下さい。今ちょうど手が空いていたところです。直ぐに送って下さい。」
「そうだ、相手は何属性なのでしょう?」
城
「それは、君と同じ『怪力属性』だぜい。問題無いかい?」
リッキー
「そういう事なら問題有りませんよ。私のパワーでヒネリ潰してあげましょう。」
城
「では、送るぜい。それ。」
「力使い」のリッキーは、風使いブリーズの元へ送られた。だが、送られて直ぐリッキーの目の中に入って来た映像は、ブリーズが怪物に捕まり締め付けられている場面だった。そして、ブリーズの骨の砕ける音が聞こえた。
「バキバキバキ・・・。わぁぁぁぁぁぁ・・・。」ブリーズは痛みに耐えられず悲鳴を上げた。
そして、怪物はブリーズの体を引き裂かんばかりに両腕で引っ張り出した。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁー・・・。」
リッキーは、その悲鳴を聞き初めて応援要請をしていたプロディガルが女性である事を知った。
リッキーは今まで女性のプロディガルと一緒に戦った事が無かったのだ。この時、リッキーの「女好きスイッチ」がONになったのだ。
リッキー
「貴様、その女性を離せ!貴様の相手はこの私だ!」
「お前の様な醜い怪物が女性に触れるなど、有ってはならない事なのだ!」
怪物はリッキーの話など無視して、ブリーズを引き裂こうとしている。
リッキー
「この私のありがたいお言葉を・・・無視するなー!パイルドライバーパンチ。」
「バキーン。」
リッキーは怪物の後ろでジャンプをして、杭を打ち込む様に頭を殴りつけた。怪物はたまらずぶっ倒れ、頭を押さえながらもがいている。解放されたブリーズは呼吸を整え直ぐに治癒を行っている。
リッキー
「お嬢さん、大丈夫ですか? 私が来たからにはもう、お嬢さんに怪物の汚い指など一本も触れさせませんよ。」
「こちらに腰かけて、私の華麗な戦いっぷりを見ていて下さいね。」
リッキーは、持っていたハンカチを取り出し、ブリーズが座れる様に石の上に敷いた。
怪物は立ち上がり怒り狂っている。周りにある物に当たり散らし、リッキーの方に向かって来る。そして、怪物とリッキーは腕と腕で掴み合い「力勝負」になった。それは、ほぼ互角で全く動かない。すると、怪物は石頭を使ってリッキーの頭にヘッドバッドを喰らわした。
「ズコーン。ズコーン。ズコーン。」
リッキーは力では負けていないが、流石に頭まではそれほど固く無く3発目で気を失いそうになってしまった。それを見ていたブリーズが「リッキー油断しないで、もう直ぐ私も復活するわ。」と言った。
リッキーは、また女性に危ない思いはさせられないと薄れゆく気を持ち直し怪物に対抗して行く。
少しするとブリーズは完全に復活した。そして、リッキーと掴み合っている怪物の後ろに回り攻撃の体制を取る。
ブリーズ
「私の開発中のエンプティ―・ストームを試してあげるわ。覚悟しなさい。」
ブリーズは至近距離から怪物に向け攻撃をしようとしたその時、怪物はブリーズの方を見てニヤリと笑みを浮かべた次の瞬間、超絶臭いおならをブリーズの顔に向けて吹き掛けたのだ。
「ブブブブハァァァァァー---。」
「キャァァァァァァー--、目がー、目がしみるー。くっ臭いー--。」
ブリーズは怪物のおならを顔面にまともに喰らってしまったのだ。そのおならは酸性ガスであり、臭いと共に細粒スプレーの様な効果をもたらしている。ブリーズの顔は赤くなり少し腫れて、目は真っ赤に充血している。
リッキー
「じょ、女性に屁を吹き掛けるとは人としてどうかと思うぞ。あっ人では無かった。」
「彼女にお下品な事をした罪は償ってもらうぞ。私のフルパワーでお前をボロキレの様にヒネリ潰してやる。うおおおおおお・・・・・??? えっ?。」
ゴガガガガガガガガ・・・・・
もの凄い音と共に辺り一面が暴風に飲み込まれているではないか。そうこれは顔に屁を掛けられたブリーズが「ブチギレ」て起こしている爆風であった。ブリーズは怒りで我を失っている様であった。リッキーは危険を感じ怪物から離れた。その瞬間爆風が怪物の所へ集まり怪物を宙へ舞い上げた。すると、そのまま風のフルボッコが怒涛の如く襲い掛かる。
それを見ていたリッキーは「私がいなくても大丈夫だったのでは?」と思った。
怪物はボロボロになり地面に叩きつけられた。
リッキー
「私がボロボロにする予定だったのに・・・。ブリーズさんお強いではないですか。」
怪物は、フラフラになって立ち上がったが、まだ目がグルグル回っている様だ。リッキーはこの時を見逃さなかった。リッキーは怪物に向かって、渾身の一撃をボディーに放ったのだ。
リッキーのパンチは怪物の腹部を貫き、一瞬で絶命した。
ブリーズの怒りは収まり我に返っていたが、自分がしたことをあまり理解していない様であった。怒らすと怖い女性であると、リッキーは五感で感じていた。
リッキー
「ブリーズさん、終わりましたよ。凄かったですね、あの爆風? 暴風? あなたは分かっていないだろうけど、凄まじい風でした。」
「途中我を失っている様でしたから。」
ブリーズ
「えっ終わったのですか? おならを掛けられて臭いのと、目が痛いので頭にきて・・・そこから先の記憶が殆ど無いわ。ごめんなさい。」
「私、前にもこんな事があって・・・でも我を失うほどでは無かったけど・・・。」
「でも、応援に来てくれて助かりました。ありがとうございます。」
リッキー
「いえ、お役に立てて良かったです。次は戦いの場では無い所でお会いしたいものですね。はははははは・・・・。」
ブリーズは意味を分かっていないのか、反応は無かった。
城
「リッキーお疲れだったぜい。死体の回収はこちらでやっておくからゆっくり休んでくれい。」
「ブリーズも傷の程度は大丈夫かい? 無理は禁物だぜい。」
ブリーズ
「城さんも大活躍です、ありがとうございました。私あまり戦いになれていなくて・・・。普段は社長の運転手が主な任務になっていたから。」
その会話を聞いていたサポーターが会話に入って来た。
宙治
「ちょっと良いかな、ブリーズさん。ブリーズさんはもしかして「風加さん」では無いですか? 五十嵐 風加 さんですよね?」
ブリーズ
「えっそうだけど・・・。その声もしかして宙治くん? 宇野 宙治くんよね?」
宙治
「そうです。宇野 宙治ですよ。お久しぶりです。半年ぶり位っすかね?」
ブリーズ
「その位は経っているわよね。久しぶり、元気だった? もしかして、宙治くんもサポーターとして活躍しているの?」
宙治
「そうなんですよ。マザーと勉さんが倒れてしまって急遽なんですけど。」
ブリーズ
「みたいね。その話は聞いているわ。でも凄いじゃない、宙治くんも実戦の場所でサポートしてるなんて。さっきの城さんのサポートも早くて適確だったわ。」
「でも、何で私が分かったの? 普段は皆プロディガルネームで呼び合っているから特定するの難しくない?」
宙治
「ピアースフォンに入って来るやり取りの中で『社長の運転手』というワードが出て来て、もしやと思ったんだよね。」
「風加さんが戦っているって事は、雷次も戦っているんすか? あいつとも全然連絡とって無くて、生きているかも分からないんすよ。」
ブリーズ
「ええ、雷次くんも戦っているわよ。私よりも多く出動しているわよ。彼は戦いの素質があって自分のスキルを自分の意思で操作が出来るから『FeCM』の訓練は無かったのよ。」
「そしてプロディガル不足の為、早くも応援要請に対応しているわ。」
宙治
「じゃ、いつかは俺が雷次のサポートをする事があるかもしれないって事っすね。」
「それはそれで、楽しみだ。あっ、ゴメンね時間裂いちゃって。」
村神
「お取込み中すまんでありんす。ブリーズさん応援要請が入っているでありんす。」
「毒の怪物との事ですが、大丈夫でありんすか?」
ブリーズ
「問題無いわ。直ぐに送って下さい。」
「じゃー宙治くんまたね。」
宙治
「そうだね、頑張って!」
村神
「では、送るでありんす。 とう。」
ブリーズは次の場所へと送られ戦いをするのであった。風加と宙治は久しぶりに会話をして、時間が進んでいた事を実感した。そして、いつの間にかS・F・Cの一員として、仲間として働いているという認識を改めて感じたのであった。
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