第82話 プロディガル達の戦い
— 第六章 —
セッカ
「マズイよ、マズイよ、この状態。ピンチじゃない? サポーターはどうしたんだよ?」
「応援要請をしているのに全く反応無しだよ。俺達二人だけじゃこいつら倒せないぞ。」
伊藤
「どうやら、勉さんも倒れてサポーターがいないらしい。マジでヤバいかもな。」
「ただ逃げるったって、俺等のスピードで逃げ切れるのかが分からないし、どうすれば良いのかさえ思い浮かばないぞ。」
「音速の如く走る事が出来れば逃げる事も可能だけど、俺のスキルは糸だし・・・。」
セッカと伊藤は岩陰に身を潜めながら、どう逃げるかを考えていた。応援要請で強力な仲間が来ない限り勝ち目は無かった。それに、テレポート機能で戻してもらうのも、衛星を使える者がいなければ戻る事も出来ないのだ。
セッカ
「おいらのスキルは光だし、どうにもならないよ。だってあいつら『目』無くない?」
「俺達ここで死ぬのかな? もっと色んな服着とけば良かった、時計もバッグも買いたかった。最後に風呂入りたかったぁー。汚いままじゃ無くて綺麗で良い香りの中で最後を向かえたかったー。」
しずく
「お待たせしました。新人の『水河 しずく』と申します。宜しくお願いします。応援要請が来ていたのでご連絡させて頂きました。」
セッカ
「おっお・・・う。サポーターの方ですか? サポーターは他にもいたのですか?」
しずく
「はい、マザーさんも勉さんも二人共倒れてしまいまして今はICUに入っております。ですので、私達が急遽サポートをさせて頂くのですが大丈夫ですか?」
セッカ
「えっ全然OKだ。サポーターならうち等の場所に他のプロディガルを送ってくれるのかい?」
しずく
「はい可能ですが、今の状況を簡単で良いので伝えて頂けますか?」
伊藤
「分かった。怪物は口から黄色い液体の様な物を出すのだけど、どうやらあの液体に触れると溶けてしまうみたいなんだ。多分『酸』だと思う。」
しずく
「了解です。えーと・・・えーと・・・あっいました。この方なら良いと思います。今連絡を取ってみます。少々お待ちください。」
セッカ
「早く頼む。こっちは長期戦で体力が殆ど残って無いし、スキルも出せないし効かないんだ。」
しずく
「モッシー、サポーターの者ですが今お時間大丈夫でしょうか?」
ガチャ
「運転中だが大丈夫だ。どうしました? 応援の要請ですか?」
しずく
「はいそうです。ここから約800㎞の地点で二人のプロディガルが戦っているのですが、もう殆ど体力が残って無いそうなのです。怪物は、口から酸の様な液体を出すとの事なのですが『ガチャ』さん大丈夫でしょうか?」
ガチャ
「その属性とは経験は無いが、サポーターのあなたの判断であるのなら、とりあえず行ってみるよ。仲間が困っているのを見過ごす訳にはいかないからね。直ぐに送ってくれ。」
しずく
「はい、ありがとうございます。では、送ります。」「えいっ!」
ガチャは車を止め待っていると、しずくによって転送された。テレポートは上手く行き800㎞離れた仲間の場所まで送られた。戦場は辺り一面酸による液体で草や木や建物が溶けて元の形が判別出来ない物もあった。
岩陰に隠れている二人を見つけ話をした。
ガチャ
「二人共大丈夫ですか? 後は、私が何とかしてみます。ここで体力の温存をしておいて下さい。」
伊・セ
「カタジケナイ。頼みます。」
すると、ガチャは怪物の所まで走り出すと、二匹の怪物全体を濃厚なガスで覆った。そして、指パッチン着火をそのガスに向かって放った。
「パチンッ!」
二匹の怪物を覆ているガスに引火し、大きな爆発を起こした。
「バゴォォォォォォォ・・・。」
ガチャ
「やったか? 手応えはあったぞ。あれを喰らったら先ず無事で・・・何!」
怪物は熱がっているが二匹ともピンピンしている。二匹の怪物はターゲットをガチャにした。ガチャは必要以上に追い掛けられてそして、ガチャは挟まれた。どうやらこの怪物は目が無い分、臭いで相手の位置や動きを見分ける能力に特化しているらしい。
ガチャ
「しずくさん。何処かに『風使いの』のプロディガルはいませんか? 私達が戦っている怪物は臭覚が異常に発達している様だ。風で私の臭いを散らせれば戦い易いのだが。」
しずく
「それが、風の使い手の皆さんは戦闘中なのです。」
ガチャ
「そうですか、分かりました何とかします。」
しずく
「すみません、お役に立てず。」
すると、スレッド使いの「伊藤」が手の指と指の間から大量の糸を出し怪物をグルグルに巻、まるで蚕の繭の様に包み込み、動きを封じ込めた。しかし、怪物は黄色い液体を出し糸をすぐさま溶かして行く。
糸が溶けたと思われた時、光の使い手「セッカ」が光の速度で怪物に何かをぶつけた。それは、お洒落番長である彼にとって無くてはならないブランド品の「香水」だった。
セッカ
「オイラのスキルは眩しいだけじゃ無いぜ。小さい物なら光の如く送れるのさ。」
セッカのぶつけたお気に入りの香水は怪物の臭覚部にヒットし弾けた。怪物の鼻に香水の液がたっぷりと掛かった。怪物はわてながら鼻の部分を擦っている。
砕け散った香水を見てセッカは泣いていた。
鼻の効かなくなった怪物はデカい口を開け空気を取り込み鼻からくしゃみの様に香水を出そうとしていた。それをガチャは見逃さなかった。怪物が大きく口を開けた時、口の中に「濃厚特大ガスボール」を入れたのだ。そして、すかさず「指パッチン着火」を怪物に向けて放った。その瞬間一匹の怪物は体の中から爆発し粉々に吹き飛んで絶命した。
仲間がやられた事に気付いた怪物は、急いでその場から逃げて行った。
ガチャ
「やったぞ!ありがとう。伊藤、セッカ、君達の連携プレイで怪物に隙が生まれ何とか上手く行ったよ。もう一匹には逃げられたがな。」
伊藤
「いや、こちらこそ来てくれありがとう。俺等だけではどうにもならなっかったよ。」
セッカ
「本当に助かったよ。俺のスキルは弱過ぎで役に立たないからさな。」
伊藤
「しずくさん、サポートありがとうございました。ガチャさんが来てくれなかったら俺等ヤバイ所でした。適確なサポートでした。どうもです。」
しずく
「いえ、お役に立てて良かったです。」
ガ・伊・セ
「では、皆さんお疲れさまでした。また、何処かでお会い出来たらお願いします。」
「しずくさん、この調子で他のプロディガルもサポートして下さい。では。」
しずく
「こちらこそ、上手く出来ずにすみませんでした。皆様も気を付けて頑張って下さい。では、失礼します。」
ガチャ
「あっ、しずくさん。自分を元の場所まで返してくれませんか? 車も置いてあるし、800㎞は流石に帰れないので・・・。」
しずく
「すっすみません。サポートで頭がいっぱいで忘れていました。ごめんなさい。」
「では、お返しします。えい。」
ガチャ
「ありがとう。適確なサポートでしたよ。またいつでも呼んでくれ!」
しずくの初実戦サポートが終了した。が、間髪を入れず次の要請が入った。
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