第23話 S・F・C 地下施設
古化、風加、雷次、宙治の四人は車から降りた。
風加はまだ全身に麻痺が残っているものの、自力で歩けるくらいに回復していた。
宙治
「えっ何もないただのだだっ広い空地じゃないですか?! 長細いコンビニみたいな建物があるだけっすね。」
「以外に小さな会社なんですね。全国からの派遣の人材がいるとか、女性スタッフが多いとか聞いていたものですから、もっと大きい会社を想像していました。」
「でも、この際小さい大きいは関係無いっすね。人間味のある仕事が出来るだけでも、ありがたいです。」
風加
「良いから着いて来て。」
風加は二人を連れてコンビニの様な建物に導き中へ案内した。古化も後から着いて行く。しかし、その建物はコンビニでも事務所でも無く、エレベーターの載り口であった。そのエレベーターは「地下」のみとなっていて地下八階までの表示がある。載り口の数もエグく、乗り口は1番~12番まであった。
風加はエレベーターに向かい「地下八階まで」と言うとエレベーターが作動し始めた。タッチレスの音声式エレベーターである。
風加は治療の為に地下八階へ行き、残る三人は地下一階で降りた。
そして、地下一階で降りた雷次と宙治は、超超超ビックリしたのだ。
雷・宙
「な、な、何だこの巨大な施設は―!地下にこんな巨大な施設があったとはー!」
古化
「ここは我が国でも唯一地下にある施設であり、一般の人は知らんだろうな。」
舞
「おーい、おじいちゃん何処行ってたの? あれ、お姉ちゃんは?」
古化
「雷次君、宇野君この子が話していた風加の妹の(五十嵐 舞 いがらし まい)だ。 これちゃんと挨拶せんか。」
舞
「こんにちは。この人達だれー?」
古化
「今日からここで一緒に働いてくれる 光 雷次君と、宇野 宙治くんだ。」
雷・宙
「こんにちは。僕が光 雷次です。僕が宇野 宙治です。宜しくね。」
舞
「ねぇーねぇー、お姉ちゃんは何処なの? どうして一緒じゃないの?」
古化
「風加は途中でちょっと怪我をしてな、今治療をする為に地下八階の病院へ行ったところだ。後で、様子を見に行くからその時舞も一緒に行こう。」
舞
「分かった、じゃー行く時呼んでねー。」
舞はスキップをしながら、託児所の様な場所へと戻って行った。だが、舞は皆の前では不安な気持ちを隠し「グッ」とこらえていたのだった。
古化
「舞は幼くして目の前で両親を殺され、恐怖を覚えた為に心がとても不安定だ。時々手に負えなくなる事がある。しかも、あの年齢にしてリセを投与した事により脳が作り出す心の安定にも支障をきたしている為、気持ちの浮き沈みが激しいのだと思われる。」
「そして、何よりも姉をしたっている。舞にとって風加は母親であり、父親でもあり、姉でもあるのだ。絶対的存在なのだよ。到底私らには分からんところですがね。」
雷次
「あんなに小さいのに大変だな。宙治、俺等もしっかりやって行こうぜ。」
宙治
「おう、大人の俺達が頑張って良き手本にならないとだな!」
「それに、舞ちゃんの様な子供達の親にはなれないが、頼りにされる大人を目指して行こうぜ!」
雷次
「だな。」
「それとちょっと聞きたいのですが、さっき舞ちゃんが古化さんの事を『おじいちゃん』と呼んでいましたが、古化さんのお孫さんて舞ちゃんの事ですか?」
古化
「うむ、全く違う。親戚でも血が繋がっている訳でも無い赤の他人です。」
「ただ、風加も舞も既に頼る人が居ない。ここに居るうちは、ここが住まいであり、実家であっても良いのではという発想から、私が勝手にそう呼ばせているだけの事です。やっぱりおかしいですかね?」
雷・宙
「うおー---! 感動です! メッチャ感動しました。 考えが神過ぎる。古化さんに一生ついて行きます。」
古化
「では、二人共私について来てください。ハハハハ。」
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