第21話 生命体の解剖

 — 数日後の話の内容。


 絶命した謎の生命体を回収し研究所へ移送した。数少ない遺体であり貴重な研究サンプルだ。

研究所に送られると早速解剖が始まった。人類も怪物と呼ばれる生き物に対応し対処していかないと、この先起こりうるであろう未知の出来事に絶望しか残されていないのでは人類の未来は無くなってしまうと考えているからだ。


 遺体は全体的に見ると人間では無いものの、手の作りや足の作り頭といった部位は人間と思わせる部分も数か所存在した。そして、サンプル体を調べた結果驚く事実が判明した。それは、怪物の遺伝子が地球人のものと類似しており、合致している部分も複数あったのだ。


 この怪物が意味する事は、紛れもなく「地球人のルーツ」もしくは「地球人が宇宙から来た生命体」の二つのどちらかであるという事だった。

 しかし何故、この生命体は人類と同じ遺伝子を持ちながら「毒」を保有していたのであろう。また、何の目的で人類を襲うのか? どの様にして我々の前に表れたのか? 人類が誕生する前から存在していたのか? 全てが謎に包まれている事だ。


 数年前の隕石との因果関係があるのであれば、何らかの痕跡があってもいいはずである。

 解剖を進めていくと、体の中には毒を貯める毒袋が複数あった。頭には毛は無く鼻も無い。口と耳はある為、何かを食べ音を聞く事も出来ると考えられる。そして、頭部の解体からは、何と「脳」もあったのだ。それも、人類と引けを取らない位の大きさを有している。それは、知的な要素もあるという事が言える。

 それを証拠に雷次が戦った怪物にしろ、今回の怪物にしろ「言葉をしゃべる」という共通点があるという事だ。


 解剖結果から皮膚も有り、骨も有る。色は違うが血液まで存在するのだ。どう見ても人間に近い生命体としか思えなかった。遺体はこれを含めても世界で数体だけであり情報量も少なかったが、人類に近い共通点が多数有り不気味いや不可解としか言いようが無かった。特に警戒すべきは「脳の大きさ」が人類と同等であるという事から、この怪物は単純な殺しをしているだけでは無い様な気がするのである。


 何か理由があり「人間を殺す」という使命に縛られているのでは? という説を問う者もいるという事だ。果たしてその使命とは・・・。

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